句集『月球儀』、「100年俳句計画」7月号に紹介   | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「100年俳句計画」7月号(マルコポ・コム)

「句集の本棚」で、

わたしの第4句集『月球儀』を紹介していただきました。

鑑賞文を執筆されたのは、岡田一実さんです。

岡田一実さんは

2014年括弧「浮力」にて現代俳句新人賞受賞。

現代俳句協会会員。「いつき組」所属。「らん」同人。


岡田一実さん、ありがとうございます♪

 

 

 

 

 

 

 

 




 岡田一美の句集の本棚 
   『月球儀』

著者の第四句集。

幻想的な世界から生々とした<美>を鮮やかに取り出す。


  翼たためる馬かいまみし葡萄の木

  さくらとて懶楕の夜を欲(ほ)るわいの

  炙られて妬心炎(ほ)となり蛇となりぬ



 「妬心」が炙られる。そこに「炎」が生れるところまでは

比喩としての納得があるが、それが「蛇」となり

生命を与えられると急に異界めいてくる。

次々と「妬心」が「炎」になりメドゥーサの髪のように

蠢く「蛇」になってゆく景色はおそろしくもあり官能的でもある。


  白馬(あおうま)のまなぶたをうつさくらかな

  若鮎の骨美しき宇宙塵

  兜虫どの宇宙より来たりしか

  繭透けてうすむらさきのさざなみ

  あきくさやきりぎしに影の痩せゆく



 「影」が「痩せゆく」。幻影としての「影」だろうか。

句跨がりのリズムが句に不穏の気配を忍ばせている。


  醜貌の兄かがよえる沐浴(ゆあみ)かな

  月熟れて死蠟の兄と睦むかな

  嘔吐せり木の葉言の葉もみじなど

  すきとおるつゆくさほどのねむりかな