『桃紅一〇五歳好きなものと生きる』2017年11月刊 世界文化社
美術家・篠田桃紅さんの仕事場、愛用の品々など
写真とその品々にまつわるエッセイ。
現在も作品制作に打ち込む姿は凛として、
孤高、いえ孤絶というたたずまい。
自宅と富士山を望む別荘のしつらい、
敬愛する芸術家の作品、
文房四宝や自作という着物、
漆椀に菓子皿が紹介されている。
「好きなもの」は、
時間を経た<もの>だけがもつ
凝縮された美意識があって、
しかも使い続けることによって醸されるその品格。
どれをとっても「ううむ」と感に絶えない逸品ばかり。
目次はこのよう。
・昔と今を繋げている 客人よ、琴を抱いて来たれ
・有名もへちまもない あなたのつくるものはいいですか?
・なにしろ百年以上生きていますから
・なにぶん旅のことで じゃんじゃん使っている
・一夕の夢物語 江戸の手仕事
・一生もの 七夕伝説のなごり
・父への手紙 禅林句集
・杏の木の下で まだ宵の口でしょ
・竹香の印
・文房四宝を想う 雲の色がきれいだね
・紙を継ぎつつ 無用の時間を持つ 一切は変わる
◆篠田桃紅
美術家。1913年生まれ。東京都在住。
墨を用いた抽象表現主義者として、
世界的に広く知られており、現在も第一線で制作している。
◆紹介された<好きなもの>
紫檀の椅子
交趾焼の菓子皿
蒔絵の重箱
切り嵌めの羽織
墨で描いたきもの
父への手紙
犀星の掛け軸
富士を望む山荘