「萩原朔太郎を朗読する Ⅱ」、
詩集『月に吠える』、今年が刊行されてちょうど100年。
前橋文学館で「月に吠える」展を開催中。
『月に吠える』 挿画・田中恭吉「冬の夕」(前橋文学館蔵)
その『月に吠える』から、
「序」と詩を四篇を朗読した。
序は詩的散文というか、
終りなどは散文詩といってもいいか、と。
朔太郎の生々しい声が聞える。
「過去は私にとつて苦しい思ひ出である。
過去は焦燥と無為と悩める心肉との不吉な悪夢であつた。
月に吠える犬は、自分の影に怪しみ恐れて吠えるのである。
疾患する犬の心に、月は青白い幽霊のやうな不吉の謎である。
犬は遠吠えをする。
私は私自身の陰鬱な影を、
月夜の地上に釘づけしてしまひたい。
影が、永久に私のあとを追つて来ないやうに。」(序より)
悲しい月夜
山居
干からびた犯罪
殺人事件
この四篇の詩を朗読。