「聖三稜玻璃」のタイトルを持つ三善晃の作品。
山村暮鳥の詩集『聖三稜玻璃』1915年刊より三つの詩、
暮鳥の死後刊行された『黒鳥集』より
一つの詩(ほんねん)からなる歌曲。
ひらがな表記のやわらかさ。
詩集の順とは異なり、
三善により次のように構成されている。
山村暮鳥の詩をどうぞ。
昭和48年に大雅洞から
深沢幸雄銅版三葉入りで、
限定百部復刊された 革装の『聖三稜玻璃』
『聖三陵玻璃』
山村暮鳥
いのり
つりばりぞそらよりたれつ
まぼろしのこがねのうをら
さみしさに
さみしさに
そのはりをのみ
曼荼羅
このみ
きにうれ
ひねもす
へびにねらはる。
このみ
きんきらり。
いのちのき
かなし。
青空に
青空に
魚ら泳げり。
わがためいきを
しみじみと
魚ら泳げり。
魚の鰭
ひかりを放ち
ここかしこ
さだめなく
あまた泳げり。
青空に
魚ら泳げり。
その魚ら
心をもてり。
ほんねん
しんじつひとりのきみゆゑ
ひともとのききようをてをる
ひともとのききようなれども
せんまんむりやう
かなしみのてこそぬらさね
ききようしろがね
しんじつひとりのきみゆゑに
そのきみゆゑに
めのけがれそめたる
ききようしろがね
われとわがかがやきにくんじしをれつ