金子兜太 句集『日常』 本の紹介 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金子兜太『日常』、 第十四句集。

2009年6月(ふらんす堂)初版から3ヵ月の

9月に第二版がでている。

ちょうど90歳になる年で、この頃には

第51回毎日芸術賞特別賞を受賞

第2回 小野市詩歌文学館賞を受賞している。


「この日常に即する生活姿勢によって、

踏みしめる足下の土が更にしたたかに身にしみてもきた。

郷里秩父への思いも行き来も深まる。

徒に構えず生生しく有ること、その宜しさを思うようになる。

文人面は嫌。

一茶の「荒凡夫」でゆきたい。

その「愚」を美に転じていた<生きもの感覚>を

育ててゆきたいとも願う。

アニミズムということを本気で思っている」。

これは兜太によるあとがき。

 

 



◆『日常』より

秋高し仏頂面も俳諧なり

安堵は眠りへ夢に重なる鞨の頭

濁流に泥土の温み冬籠

左義長や武器という武器焼いてしまえ

みちのくに鬼房ありきその死もあり

長寿の母うんこのようにわれを産みぬ

民主主義を輸出するとや目借時

炎暑の白骨重石のごとし盛り上る

母逝きて雲枯木なべて美し

いのちと言えば若き雄鹿のふぐり楽し