今日から開館のタワー美術館。
「モノ黒ーム 多彩な黒」と
水墨、書に焦点をしぼった美術展。
「黒」という色にあるさまざまなニュアンスを
じっくり観ることができる展示。
◆タワー美術館 ホームページ
黒は、数ある色のなかでも不思議な存在です。
そのまま黒い色を表わすこともありますが、
光の届かない闇や暗さ、
つまり色さえも見えない状態を表わすこともあり、
さらには線描のように存在を際立たせることもあります。
日本画で用いる代表的な黒色は墨ですが、
岩絵具にも黒色はあります。
そして、墨も岩絵具の黒も、黒色は一様ではありません。
青っぽい黒、茶色っぽい黒、漆黒のような黒、
そしてキラキラ光る黒。
黒は、とても表情が豊かな色なのです。
絵画では、その濃淡によって明暗を表わし
黒の階調による作品世界を作り上げ、
線描にすると立体をかたどる輪郭となり、
対象の周囲をぼかして隈取ることで存在を浮き立たせ、
明暗、影をも表わすなど、実に多彩な姿を見せます。
そして、書になると筆記の軌跡となり、
そこに筆の上下左右の動きさえも閉じ込めます。
色ばかりか、明暗、深浅などをも表わすことのできる黒は、
色彩の再現とは異なる次元で表現を可能にする
不思議な色なのです。
1月15日(日)まで。
画像はこちらから(真中より下)
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