萩原朔太郎「盆景」 <盆景>、ご存知でしょうか? | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。


盆景富士

                成田空港に展示された作品


  
  盆景
                      萩原朔太郎


春夏すぎて手は琥珀、

瞳は水盤にぬれ、

石はらんすゐ、

いちいちに愁ひをくんず、

みよ山水のふかまに、

ほそき滝ながれ、

滝ながれ、

ひややかに魚介はしづむ。


             詩集 『月に吠える』より



朔太郎、<盆景>を好んでいたのでしょうか?

盆景とは、『日本書紀』に記述があって、

なんと1400年の歴史を持ち、

お盆の中に自然の景色や名所を立体的に

再現した伝統技術作品。


日本最古の盆景図

           「春日権現験記絵」に描かれた日本最古の盆景



箱庭をさらに精緻にした驚異の「ジオラマ」、とも。


詩に「石はらんすい」とありますが、

小山潭水(たんすい)・日本盆景協会(100年前に創立)を

創設した方を、「たんすい」ならぬ「らんすい」といったものか。

朔太郎、かなり朔太郎流に漢字をかえたりしていることもあるので。

あるいは詩作品なので、名前を替えたのかも。



神景

           「神峯飛瀑」(盆景、盤景、盆石の世界より)



現在では新盆景協会が2015年に発足し、

美術展、成田空港などに作品を展示。