この3月にサントリーホールでのコンサートを
NHK-BSの録画で聴いた。
チレア「アドリアーナ・ルクヴルール」からの
アリア「私は神の卑しいしもべです」で
「Ecco・・・」というネトレプコの一声の練り上げられた響き、
そのなんと豊かで、艶やかなで、勁い。
オペラアリアが繰り広げられるが、
どのアリアにおいても血のかよった言葉、
生きた人間の姿が、
その<声>によって立ち現われる。
「イル・トロヴァトーレ」しかり、
「アンドレア・シェニエ」しかり。
「蝶々夫人」の「ある晴れた日に」をネプレプコが
歌うのは初めて聴いた。
全幕を演じる日もちかいのかも。
共演のネトレプコ夫君・ユシフ・エイヴァゾフ。
体格がよく、声も輝きのある立派なテノール。
歌ったアリアのなかでも、
カラフが実直そうな人柄にあっているか、と。
『オテロ』などの二重唱、
そしてアンコールはあのウイーンで裸足で歌った(踊った?)
という伝説の「チャールダーシュの女王」。
指揮のヤデル・ビニャミーニはすべて暗譜で振っていた。
オーケストラは東フィル。
序曲「運命の力」から、とても力のこもった篤い演奏。
アリアの歌い終わった後など、
メンバーのよかったというあたたかい笑顔が印象的。
◆アンナ・ネトレプコ IN 東京
<出 演>
アンナ・ネトレプコ(ソプラノ)
ユシフ・エイヴァゾフ(テノール)
<管弦楽>東京フィルハーモニー交響楽団
<指 揮>ヤデル・ビニャミーニ
<曲 目>
・歌劇「運命の力」序曲 ヴェルディ 作曲
・歌劇「アドリアーナ・ルクヴルール」から 「私は神の卑しいしもべです」
チレーア 作曲 (ネトレプコ)
・歌劇「オテロ」から 「すでに夜もふけた~あなたから戦の話を聞いた時」
ヴェルディ 作曲(デュエット)
・歌劇「蝶々夫人」から 「ある晴れた日に」 プッチーニ 作曲 (ネトレプコ)
・歌劇「アンドレア・シェニエ」から 「なくなった母を」 (ネトレプコ)
・ 「五月の晴れた日のように」 (エイヴァゾフ)
・ 「第4幕 フィナーレ」 (デュエット)
ジョルダーノ 作曲 ほか
収録:2016年3月18日 サントリーホール