皆川博子『クロコダイル路地』 2016年4月19日刊 講談社
雑誌の連載が終わり、
本になるのを待ちわびて。
たまには本屋で購入しようと、
発刊の日に出かけたところ、
入荷していない!?
地方は遅くなるのかしら?
それでは、といつもどうりアマゾンへ。
今日届く。
さっそく耽読。
造本が素晴らしい。
連載時に挿画を描いた伊豫田晃一の装画。
表紙から裏表紙までぐるっと一枚の画。
装幀は皆川作品を多く手がける柳川貴代。
本体は黒のクロコダイル模様でおおわれ、
見返しは暗赤色のクロコダイル模様。
ちょっと凹凸感があるよう。
小説のところどころに挿画がはさまれている。
『クロコダイル路地 Ⅱ』では
このクロコダイルの赤が群青にかわる。
本屋さんで手にとってみては、いかが。

◆『クロコダイル路地 Ⅰ』 内容紹介より
quo fata trahunt, retrahuntque, sequamur.
運命が運び、連れ戻すところに、われわれは従おう。
1789年7月14日、民衆がバスティーユ監獄を襲撃。
パリで起きた争乱は、瞬く間にフランス全土へ広がった。
帯剣貴族の嫡男フランソワとその従者ピエール、
大ブルジョアのテンプル家嫡男ローラン、
港湾労働と日雇いで食いつなぐ平民のジャン=マリと妹コレット。
〈革命〉によって変転していくそれぞれの運命とは。
上巻は貿易都市ナントを舞台にしたフランス編。
小説の女王が描く壮大な物語と、
仕組まれた巧妙な仕掛けに耽溺せよ。
◆『クロコダイル路地 Ⅱ』
「法廷で裁かれるのは〈犯罪〉だ。神が裁くのは、〈罪〉だ」
革命は終わった。
登場人物たちは、フランスを脱出してイギリス・ロンドンへ。
ローラン、ピエール、コレットは、
革命期に負った「傷」への代償としての「復讐」を試みる。
「革命という名の下になされた不条理に、
私は何もなし得ない。ゆえに、
個が個になした犯罪の是非を糺す資格も、私は持たない。
私は、法がいうところの犯罪者になるつもりだ」
私は、殺人を犯す。それは罪なのか?
あの「バートンズ」も登場!
下巻は産業革命期のロンドンを舞台にしたイギリス編。