司修『Oe 60年代の青春』白水社 2015年刊
装幀も著者。
大江健三郎と同世代の著者、
多くの大江の装幀を手がけてきた。
この書はそうした大江作品のなかから、
『叫び声』と『河馬に嚙まれる』を徹底的に読み込み、
その大江作品で取り上げられた
小松川高校事件(女子高生殺害事件)、
安保闘争、
浅間山荘事件、
狭山事件、
原爆と原発事故による被曝、
沖縄、在日朝鮮人の問題などを横軸とし、
司自身を縦軸として、語られる。
60年代を語りながら、
それらはおそろしいほど<現在>を
あぶりだしている、と。
なんとも「重い」本で、
しばしば息を整えながら、読んだ。
司修
◆ 目次
序章 一冊の本の形
第1章 『叫び声』(こらあじゅ1987
恐怖の時代
黄金の青春の時と犯罪
停滞から抜け出す少年
ジラード事件 ほか)
第2章 『河馬に噛まれる』(ひとしれず微笑む
熱狂
パラダイス
少年A
無意味な死 ほか)
終章 小説の方法