ドン・ジョバンニ
ザルツブルグ音楽祭2014年、
モーツァルトホールでの録画を観た。
なによりも歌手たちに惹かれた。
声はもとより、演技、容姿もとても魅力的。
そこから繰り出される各人のアリア、
二重唱、三重唱、などなどのアンサンブルの魅惑的なこと。
ドン・ジョバンニのイルデブランド・ダルカンジェロの凄さ。
徹底的な色事師というか、肉食獣のよう。
その深々として、輝くバリトン、じつに濃い貌、そして容姿。
こんなにドン・ジョバンニそのもののような
歌い手をみるのは初めてのこと。
女性歌手3人もじつにチャーミング。
ドンナ・アンナ役のレネッケ・ルイテンはドラマチックな声。
エルヴィラのアネット・フリッシュ、
ドン・ジョバンニへの断ち切れない愛、その憎しみ、
自分のやりきれなさ、が切ない。
ツェルリーナのヴァレンティナ・ナフォルニータが可愛い。
スタイル抜群。
マゼットもスタイリッシュでとても田舎のカップルには
みえないけれど。
ルカ・ピサローニのレポレッロ、背が高くて格好が良い。
丸メガネ、髪を七三にして、ロングコート。
ドン・ジョバンニにとは主従であって、
悪辣なドンジョバンニにそうとう嫌気がさしているのに、
ドン・ジョバンニとは離れられない、レポレッロを好演。
ドン・ジョバンニの地獄落ち、
どうなるかがこのオペラのひとつの焦点。
この演出では落ちない、というか、
全員が「悪人は地獄に落ちた」と歌っているところへ、
むくっと起き上がったドン・ジョバンニが
女性にちょっかいをだしているところで幕。
こんなに声、演技、容姿もそろったキャストの
プロダクションはさすがザルツブルグ。
あのエッシェンバッハの指揮も濃かった。
言うまでもないウイーンフィル演奏。
オペラ「ドン・ジョバンニ」を堪能。
◆歌劇「ドン・ジョヴァンニ」
<出 演>
ドン・ジョヴァンニ: イルデブランド・ダルカンジェロ
騎士長: トマシュ・コニェチュニ
ドンナ・アンナ: レネケ・ルイテン
ドン・オッターヴィオ: アンドルー・ステープルズ
ドンナ・エルヴィーラ: アネット・フリッチュ
レポレルロ: ルーカ・ピサローニ
ツェルリーナ: ヴァレンティナ・ナフォルニツァ
マゼット: アレッシオ・アルドゥイーニ
<合 唱>ウィーン・フィルハーモニア合唱団
<管弦楽>ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
<指 揮>クリストフ・エッシェンバッハ
<演 出>スヴェン・エリック・ベヒトルフ
<翻 訳>森口いずみ
<字 幕>三井章子
収録:2014年8月 モーツァルト劇場(ザルツブルク)
◆ダルカンジェロ インタヴュー