オペラ「マノン・レスコー」
新国立劇場オペラパレスで2日目を観る。
あの11年震災のため幻の舞台となったオペラの
復活上演。
舞台は実にシンプル。
そこに登場する人間が、
プッチーニの甘美な音楽があふれてくる。
小悪魔のような美少女に出会ってしまい、
ともに堕ちてゆく、デ・グリューとマノン。
デ・グリュー:ポルタの感情のうねりがまっすぐに飛んでくる。
(最高音はもっと響きがほしいような・・・)
美貌を誇りにおもい奔放なマノンから、
アメリカに追放され、砂漠を彷徨し死にいたる、
そんなマノンをブルガリアのソプラノ:スヴェトラ・ヴァッシレヴァが歌う。
軽薄ともいえる驕慢な小娘から、
死の鬼気迫るアリアまでのリリコ・スピントが素晴らしい。
苦難に人間としての<丈>が高くなってゆく。
甘やかなメロディーが人を得るとこんなにも
人間のもつ根源にまで届くような、
<真>を描き出す。
ジェロンドの妻屋秀和のなんて芸達者なこと。
若い娘に囚われてしまった哀しみを魅せてくれる。
三幕の女声合唱の迫力。
間奏曲でオーケストラにブラーボがとぶ。
濃密な時間・空間を味わった一夜。
3月18日、21日に上演。
二幕
◆
指揮:ピエール・ジョルジョ・モランディ
演出:ジルベール・デフロ
管弦楽:東京交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団
◆出演
マノン・レスコー スヴェトラ・ヴァッシレヴァ
デ・グリュー グスターヴォ・ポルタ
レスコー ダリボール・イェニス
ジェロント 妻屋秀和
エドモンド 望月哲也