むざんやな甲の下のきりぎりす @ <初演>コンサートの曲 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

<初演> 委嘱作品 曲:野澤美香






  

   むざんやな甲の下のきりぎりす            芭蕉

        (かぶと)







<なんと痛ましいことよ。

討ち死にした実盛(さねもり)の甲だけがここに留められ、

その下でか細く鳴く蟋蟀(こおろぎ)の声を聞いていると

悲痛の思いに旨が疼く>



謡曲「実盛」の語を借りて、

実盛哀惜の心情を表白した。

                     新潮古典集成「芭蕉文集」より




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作曲家:野澤は曲に「あなむざんやな」と詞にしているが、

芭蕉草稿のおりは「あなむざんやな甲の下のきりぎりす」。

「おくのほそ道」では

「あな(感動詞 ああ)」は取られ、この表記に。



謡曲「実盛」、『平家物語』に、

義仲の四天王のひとり兼光が旧知ということで

首実検をし、「あなむざんやな」と落涙した、とある。



この句は小松にて、

1689年旧暦7月26日、新暦9月9日。