箕作秋吉「芭蕉紀行集」第7曲目になる。
荒海や佐渡に横たふ天の河 芭蕉
<狂瀾怒濤(きょうらんどとう)の暗夜の荒海。
そのはるか沖合、悲痛な流謫(るたく)の歴史を
秘めて浮かぶ佐渡が島の、夜空に流れる銀河の
胸に染み入るような輝きよ>
実景の忠実な描写ではなく、
旅懐と史的懐古とによる心象風景として構成した吟。
「横たふ」は状態を言うに所作表現を用いて
強い感動を表白した。
新潮古典集成「芭蕉文集」より
旧暦6月28日、新暦8月13日、
村上にて。