おくのほそ道
月日は百代(はくたい)の過客(くわかく)にして
行きかふ年もまた旅人なり。舟の上に生涯を浮べ、
馬の口とらへて老(おい)を迎ふる者は、
日々(ひび)旅にして旅を住みかとす。
古人も多く旅に死せるあり。
予もいづれの年よりか、片雲(へんうん)の風にさそはれて、
漂泊の思ひやまず。海浜にさすらへ、昨年(こぞ)の秋、
江上(かうしやう)の破屋(はをく)に蜘蛛の古巣を払ひて、
やや年も暮れ、春立てる霞の空に、白河の関(せき)越えんと、
そぞろ神のものにつきて心を狂はせ、
道祖神(だうそじん)の招きにあひて取るもの手につかず。
松尾芭蕉「おくのほそ道」、の冒頭。
1689年3月27日(新暦5月16日)に
深川の庵を出立し、
ほぼ半年の旅を終え、大垣に至る。
全行程2400キロにおよぶ。
今回のコンサートでは
紀行文を朗読し、
俳句をうたいます♪