三月 Ⅱ ~俳句から詩へ~ | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。



   三月の火喰獣を腑分けせよ

    (サラマンドル)



「人間に火をあたえるな」

そうゼウスは言った。

プロメテウスは背いた。

プロメテウスは捕らえら、拷問された。

それは、

岩に縛りつけられられ、内臓を鷲に喰われるという。

日ごと夜ごと、

再生する内臓を喰われた。




ふふふ・・・




プロメテウスの火は不味い。

そんな理屈のまざったものは不純というもの。

舌にざらつく。


幾億劫になるか。


火はわたしが与えた。

このわたしがだ。


ポンペイをみよ。

目のまえで抱き合った情人どもが燃える。

逸楽の

愛欲の

淫欲のまま




ふふふ・・・




それが火というもの。


わ・た・し





<火>




なに、

火喰獣・サラマンドルだと

ふん、愚か者め

喰らうているのではないッ


燃え尽きてしまえ

そんな輩

息を吹きかけるだけ

火種ほどもいらぬ



ふふふ・・








瓦礫のなか、

ドクター・Gは立つ。

足元には彼が解体した<物(ぶつ)>が

転がっている。