プログラムに載せる曲目解説です。
300字の字数制限でしたので、
この詩を、曲を書くには短すぎて、
ちょっとわかりにくいかも。
<鴉>
「鴉」は三好達治のそれまでの静的な世界から一転し、
詩人の内面を抉り、心理や存在に踏み込んだ詩である。
「わたし」は曇天の荒野をさまよ彷徨う。
と、なにものかの<声>。
とまれ!(恐怖) 至上命令は次々と下り、
お前の着物を脱げ!(敗北)
裸になれ!(恥辱)
その上衣を拾って着よ!(威嚇と服従)
飛べ!(思いがけない飛躍と自らの化身)
啼け!(内奥の嘆き)
が、啼きながらも詩人は
「木葉をまくように<言葉>を撒いていた」。
石桁真礼生はこの散文詩にじつに深い精神性のある曲を書く。
作曲には数年の歳月を要した大曲にして石桁の代表作。
鴉よ、飛べ!