坂東玉三郎「言の葉コンサート」 @ 高崎市民文化会館 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

$「月球儀」&「芭蕉座」                          俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ-玉三郎「言の葉コンサート」




玉三郎さま、高崎へ!


緞帳があがると、

ステージは舞台奥、床、袖まで黒で覆い、

白い雲を置き、上手に黄金のハープ、下手に打ちかけ。

白いスーツ姿の玉さまは椅子に腰をかけ、

その姿が浮き上がる。

まさに<登場>とはこういうことか。



 一部

・ご挨拶

・「夜叉ヶ池」

・「海神別荘」


「言の葉コンサート」を始めて7年になること、

12月公演の「日本橋」のこと、

泉鏡花のことなどから、作品へ。

玉さまの「鏡花先生」という響きからも

どれほどの敬愛の念かが伝わる。


とてもわかりやすく作品の解説をして、

「夜叉ヶ池」を抜粋で朗読へ。

どれほどの読み込みがされたことか、

「白雪姫」、「お百合」さんが立ち現れる。


ハープが叙景をかたり、

あるいは物語の景をささえる。

その緩急が素晴らしい。

ハープは朝川朋之(衣装は黒)。


ちょっと鼻声かしらとも。


「海神別荘」の公子もされるんだ、と。


当然のことながら「ことば」で織り成される

鏡花の「人」を超えた世界にある

たましいのありようなど、

「涼しく、なつかしい」。


休息のあとの二部では、

プログラムになかった「日本橋」の一部を。

このサプライズに会場が沸く。


「天守物語」を最後に。

玉さまの富姫は何度観たことか。

あの富姫の「帰したくはなくなった」の場。

「獅子頭の眼」が潰され、盲目になった場。


驚いたのは名工近江丞の<声>。

息づかいから一瞬の間に変わり、

これほど深い、太い、洞察に満ちたその音色。


芝居で観るこの場の「名工」のありようが、

いつも「機械仕掛けの神 デウス・ エクス・マキナ」のようで、

とても好きな作品にもかかわらず、

ここではなにか違和感があったのだが、

この朗読で納得がいった。


この舞台、玉さま美意識がすみずみにまで

緻密に、精密に、造形された作品になっている、と。


またあらたな「玉三郎の世界」を

観ることができた。


<泉鏡花・幻想の世界>がタイトルだが、

まさに、

<玉三郎の「泉鏡花・幻想の世界」>