玉三郎さま、高崎へ!
緞帳があがると、
ステージは舞台奥、床、袖まで黒で覆い、
白い雲を置き、上手に黄金のハープ、下手に打ちかけ。
白いスーツ姿の玉さまは椅子に腰をかけ、
その姿が浮き上がる。
まさに<登場>とはこういうことか。
一部
・ご挨拶
・「夜叉ヶ池」
・「海神別荘」
「言の葉コンサート」を始めて7年になること、
12月公演の「日本橋」のこと、
泉鏡花のことなどから、作品へ。
玉さまの「鏡花先生」という響きからも
どれほどの敬愛の念かが伝わる。
とてもわかりやすく作品の解説をして、
「夜叉ヶ池」を抜粋で朗読へ。
どれほどの読み込みがされたことか、
「白雪姫」、「お百合」さんが立ち現れる。
ハープが叙景をかたり、
あるいは物語の景をささえる。
その緩急が素晴らしい。
ハープは朝川朋之(衣装は黒)。
ちょっと鼻声かしらとも。
「海神別荘」の公子もされるんだ、と。
当然のことながら「ことば」で織り成される
鏡花の「人」を超えた世界にある
たましいのありようなど、
「涼しく、なつかしい」。
休息のあとの二部では、
プログラムになかった「日本橋」の一部を。
このサプライズに会場が沸く。
「天守物語」を最後に。
玉さまの富姫は何度観たことか。
あの富姫の「帰したくはなくなった」の場。
「獅子頭の眼」が潰され、盲目になった場。
驚いたのは名工近江丞の<声>。
息づかいから一瞬の間に変わり、
これほど深い、太い、洞察に満ちたその音色。
芝居で観るこの場の「名工」のありようが、
いつも「機械仕掛けの神 デウス・ エクス・マキナ」のようで、
とても好きな作品にもかかわらず、
ここではなにか違和感があったのだが、
この朗読で納得がいった。
この舞台、玉さま美意識がすみずみにまで
緻密に、精密に、造形された作品になっている、と。
またあらたな「玉三郎の世界」を
観ることができた。
<泉鏡花・幻想の世界>がタイトルだが、
まさに、
<玉三郎の「泉鏡花・幻想の世界」>