
二期会60周年記念祝賀会&街頭歌唱の次ぐ日は
フランス歌曲研究会へ。
「詩の歴史から見た歌曲」
稲葉延子さん、現代の思想文学が専門で、
シモーヌ・ヴェイユの研究者をおむかえし、
歌曲の講師に鎌田直純さん。
公開レッスンのかたちで、7名、7曲。
受講生が曲を歌い、
その詩人を稲葉先生が講義する。
トロバドール・トロベールという
詩を書き、曲をつくり、みずから演奏する
ひとびとから、
ヴィクトル・ユゴー、ルコント・ド・リール、
ポール・ヴェルレーヌ、シャルル・ボードレール、
ギヨーム・アポリネール、ルイ・アラゴン、ステファーヌ・マラルメの
7人の詩人をその社会背景、どのような人であったか、
どういう影響を受け、だれと交友があったかなど、
じつに明快・明晰に語られる。
いままで点であったことがらなどが、
流れの中に位置づけられていく。
その解説のあとでは、歌い手の
歌がみごとにかわってゆく。
詩の内容・読みまでは時間の制約があり、
歌への指摘は発音、ディクションになった。
じつに興味深い講義を聴講できた。
稲葉 延子 いなば のぶこ
1950年京都市生まれ。
早稲田大学大学院文学研究科博士課程でフランス文学を専攻。
カリタス女子短期大学言語文化学科教授。
編訳書に、『シモーヌ・ヴェーユ その劇的生涯』(春秋社)、
訳者に『アンドレ・ヴェイユ自伝ーある数学者の修業時代』
(シュプリンガー・フェアラーク東京)、
テキストに『シモーヌ・ヴェーユ:思想と行動の軌跡』(三修社)、他。