山田耕筰をうたう Ⅳ 小人の地獄 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。


<小人の地獄>    西条八十


「大地獄じや

小地獄じや」


ひろい畠の

まんなかで

小人がしくしく

泣いてゐる


なんで泣くぞと

訊(き)いたらば

足の下から

火が燃える


段々(だんだん)畠(ばた)の 

間(まつ)昼間(ぴるま) 

煙ものぼらぬ

青い空


跳ねる小人を

抱(いだ)きあげ

踵の底を

よく見れば


真紅(まつか)な真紅な

豆の花

それでも小人は

泣きじやくり


「大地獄じや

小地獄じや。」


                 西条八十全集 第六巻(国書刊行会)