山田耕筰をうたう Ⅳ 小人の地獄<小人の地獄> 西条八十「大地獄じや小地獄じや」ひろい畠のまんなかで小人がしくしく泣いてゐるなんで泣くぞと訊(き)いたらば足の下から火が燃える段々(だんだん)畠(ばた)の 間(まつ)昼間(ぴるま) 煙ものぼらぬ青い空跳ねる小人を抱(いだ)きあげ踵の底をよく見れば真紅(まつか)な真紅な豆の花それでも小人は泣きじやくり「大地獄じや小地獄じや。」 西条八十全集 第六巻(国書刊行会)