コンサートで歌う曲 Ⅱ フォーレ作曲 ヴェルレーヌ「牢獄」 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

ヴェルレーヌがランボーの手首を銃で
撃った事件で、入牢していた。
その時の詩。

やはり堀口大學の訳で。


  <牢獄>      ポール・ヴェルレエヌ
               訳詩 堀口大學


屋根の向うに
 
  空は青いよ、空は静かよ!

屋根の向うに

   木の葉が揺れるよ。


見上げる空に鐘が鳴り出す
 
   静かに澄んで

見上げる木(こ)の間(ま)に小鳥が歌う


   胸のなげきを。

神よ、神よ、あれが人生でございましょう 

   静かに単純にあそこにあるあれが、

あの平和なもの音は

   市(まち)の方(ほう)から来ますもの。


――どうしたというのか、そんな所で、

   絶え間なく泣きつづけるお前は、

一体どうなったのか

   お前の青春は




全集収録時は上記の訳。

その以前はこちら(部分)。



屋根の、向ふに

静かに澄んだ青空!

屋根の向ふに葉をゆする一本の木

青空に聳えて見える

寺の鐘が鳴り渡る

木の上にとまつた小鳥が

胸の嘆きを歌うふ


          (長谷川郁夫著『堀口大學』詩は一生の長い道 より)
  

   < Prison>

Le ciel est, par-dessus le toit,
 
  Si bleu, si calme!

Un arbre, par-dessus le toit,

  Berce sa palme.


La cloche, dans le ciel qu'on voit,
 
  Doucement tinte.

Un oiseau sur l'arbre qu'on voit

  Chante sa plainte.


Mon Dieu, mon Dieu! la vie est la,

  Simple et tranquille.

Cette paisible rumeur-la
 
  Vient de la ville.


Qu'as-tu fait, o toi que voila

  Pleurant sans cesse,

Dis, qu'as-tu fait, toi que voila,

  De ta jeunesse?