俳句を書くメゾソプラノ・山本 掌(しょう)と申します。
よろしくお願いいたします。
まず、12月5日(月)のコンサートの曲目から。
「舞」は
<六代目尾上菊五郎の娘道成寺によせて>という
サブタイトルがつく深尾須磨子の詩。
1929年に創られている。
深尾が歌舞伎役者・六代目菊五郎の「娘道成寺」を観て、
あまりの感激にいっきに書き下ろした詩、といわれている。
名まであげ詩にしていることからも、
どれほどの感銘を受けたかがうかがえる。
深尾は長らくパリに暮らし、
かの地でフルートの名手、マルセル・モイーズに師事しており、
フランスの演劇や音楽に親しんでいた。
日本に戻り観た「歌舞伎」・「名優六代目」
は驚愕するほどの芸術的な体験であったという。
深尾にとってのディスカバァー・ジャパンだったのか(!?)
六代目菊五郎はいうまでもない大役者。
エピソードにはことかかないが、
かのジャン・コクトーが世界漫遊の旅で
日本に立ち寄り、観たのが六代目の「鏡獅子」。
やはり大感動のコクトーと六代目は対面したという。
(このとき案内したのが堀口大學。
ここらあたり長谷川郁夫著「堀口大學」に詳しい)
この「鏡獅子」、彫塑になっており、
作者・平櫛田中(ひらくしでんちゅう)の代表作ともいわれ、
国立劇場にある。
「娘道成寺」の白拍子花子そのものではないが、
それを前面に、あるいは通奏低音としてひびかせ、
ひとりの<女人>、
たおやかにして、魅惑的な、たけたかく、
最後には天地をも動かすほどの、その姿を描く。
画像:六代目尾上菊五郎
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%BE%E4%B8%8A%E8%8F%8A%E4%BA%94%E9%83%8E_(6%E4%BB%A3%E7%9B%AE)
深尾須磨子
http://barbare.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/post_f84d.html
(ウキのより面白い)
「マダムXの春」深尾須磨子著 小沢書店
「堀口大學」長谷川郁夫著 河出書房新社
