透明帯除去法 | 馬車道レディスクリニックのスタッフブログ

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今回は、先日 患者様からも質問を受けましたので、

体外受精の新しい手法についてお話したいと思います。

 

昨年5月に『受精卵の膜除去で2人妊娠 鳥取のクリニックが発表!』という

ニュースが流れました目

 

このニュースは、鳥取県にある「ミオ・ファティリティ・クリニック」の見尾先生らが行っている新しい手法で、

受精卵を取り囲んでいる透明帯を取り除いて培養することで形態良好な受精卵を育てるいうものです。

このニュースの時点で2人の妊娠を報告していますニコ

 

見尾先生らは、これまで行っていた胚培養の膨大なタイムラプス・データから、

卵子を取り囲む透明帯と受精卵の間には糸のようなものが繋がっている箇所があり、

細胞分裂の際にその箇所からフラグメンテーション(断片化した核をもたない細胞)が発生しやすいことを発見サーチ

フラグメンテーションの発生は受精卵の良好な発育と負の相関があり、フラグメンテーションが増えるほど

受精卵の発育は悪くなっていきます。

 

そこで、見尾先生らは、この糸のようなものを切ってしまえばフラグメンテーションの発生を抑えられるのでははてなマーク

と考え、糸のようなものが繋がっている透明帯を取ってしまう事でこの現象を解消しようと考えましたひらめき電球

 

この仮説を証明するためにまず、

体外受精で異常受精(移植に使用できない)となった胚を用いて検証を行い、

透明帯を取らないグループでは胚盤胞まで到達した胚がなかったのに対し、

透明帯を取ったグループでは受精卵の30.4%が胚盤胞に達したとの結果を出しましたポーン

 

その結果に基づいて実際の治療に応用すべく、正常受精卵でこの手法を取り入れているようです拍手

 

わたしも実際、体外受精を行っていると、

フラグメンテーションが多く発生してしまい、なかなか胚盤胞に到達しないケースが少なからずありますあせる

そういった患者様の現状を救う手法となればいいなと思いますおねがい

 

最新の情報では、

≪形態良好胚の得られない方(2021年2月時点:102名、平均年齢40.4才)に対して2020年1月以降実施してきましたが、その結果、本来、妊娠をほぼ期待できない方の約27%が妊娠されました(胚移植159周期、臨床妊娠28名)。このうち、すでに、3名の方が健児を出産され、本法の安全性についても立証されました。≫と報告していますビックリマーク

 

今後も続報を注意深く注目していきたいと思いますウインク