過緊張
練習の目的は試合で役に立つ技術や体力を身につけることですが、試合でそれを発揮することは意外と難しいものです。特にプレッシャーのかかる大事な試合では、緊張しすぎて練習通りのプレーができなくなったりします。では、この問題をどうやって解決すればよいのでしょうか?
やる気があるから緊張する
まず、緊張するのは悪いことではないということを知ってください。あなたが緊張するのはその試合があなたにとって大切だからです。やる気がみなぎっているからです。頑張りたいと思っているからです。そんなときは誰でも緊張します。それどころか、一流選手ほど緊張するものなのです。緊張すると呼吸や心臓の鼓動が速くなりますが、これは全力で身体を動かすための準備です。ソファーでくつろいでいるときのようなリラックス状態では勝負になりませんから、良いプレーには緊張が必要なのです。
とはいっても、緊張しすぎるのがよくないのは言うまでもありません。緊張が極限に達することを「アガる」とか「ビビる」と言いますが、この状態では頭の中が真っ白になったり手足が震えてしまいます。当然これでは良いプレーは望めないので、無駄な緊張を取り除いて適度な緊張状態にしなければなりません。以下に、緊張しすぎる原因と過度な緊張を吹っ切る考え方を挙げていきます。
完璧主義
まず、完璧主義はアガる原因です。「完璧なプレーをしなければならない」という気持ちが無用なプレッシャーを生みます。ピッチャーなら「ヒットを打たれてはいけない」「ストライクゾーンぎりぎりに投げなければならない」、バッターなら「打ち損じは許されない」「三振してはいけない」という具合です。しかし、ヒットを打たれなければ毎試合ノーヒットノーランかもしれないし、打ち損じがなければ毎試合打率10割です。一流選手でもめったにできないノルマを自分に課すことが現実的でないことに気づくべきです。「ヒットを打たれても得点されなければいい」「打ち損じてもかまわないから積極的にスイングしよう」と考えれば、アガることなくプレーできます。
自意識過剰
自意識過剰もアガる原因です。他人が自分のことをどう思うかが気になる、つまり「他人の期待通りの結果を出さなければならない」という気持ちがプレッシャーを生みます。応援してくれる人の期待に応えたいという気持ちは前向きな力になりますが、この場合の「他人の期待」とは自分が勝手に想像したものです。自分で自分に期待しすぎているともいえます。しかし、実はアガっている選手が思っているほど監督やチームメイトや観客はその選手に期待していません。人は自分のことばかり考えていて、他人のことはそれほど気にしていないものなのです。アガっている本人が自分のことで頭がいっぱいなのが何よりの証拠です。そのことがわかれば、自分への過度な期待もなくなって気持ちが楽になるでしょう。実力以上のプレーはできないのですから、いま自分ができることに集中しましょう。
悲観主義
悲観主義はビビる原因です。勝ちたいと思うほど負けるのが怖くなります。相手がとても強く思えたり不安要素ばかりが頭に浮かんでプレッシャーになります。多少の不安は集中力を高めますが、相手の実力や不安要素を過大評価してはいけません。相手も人間です。常に試合で100%の実力を発揮することはできません。また、不安に思っていることのほとんどは実現しないものです。できる限りの準備をしたら、あとは考えすぎずに開き直りましょう。結果はコントロールできないので、結局はプロセスに集中して最善を尽くすしかないのです。「人事を尽くして天命を待つ」ということです。
身体を動かす
以上のような考え方に加えて、深呼吸、ジャンプ、ダッシュ、大声を出すなどの身体動作も過度な緊張を吹っ切るのに有効です。特に深呼吸は大事な場面で心を落ち着かせるルーティンとして活用しましょう。アガったりビビったりしても深呼吸を忘れていなければ、それは冷静に対処できている証拠です。
プレーを楽しむ
このように、やる気の高まった状態で無駄な緊張を取り除くことができれば、気持ちよく練習通りプレーすることができます。
一方、アガったりビビったりしない代わりに、試合中に腹を立てたり自暴自棄になってやる気を失ってしまうのは、緊張するのを怖れているからです。緊張状態の一歩手前で足踏みしてしまっているのです。緊張しなければ良いプレーはできないので、一度体が震えるほどの緊張感を味わってからその緊張を吹っ切ってみてください。集中力が高まりプレーを楽しめると思います。
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