用具の進化は競技の結果に大きな影響を及ぼす。
昨今の競泳界における水着騒動でもわかるとおり、単純な競技ほどその影響は顕著に表れる。
陸上100mの記録更新はスパイクの軽量化やアンツーカーの改良によるものがほとんどで、人の走る速さはあまり変わっていないという話を聞いたことがある(人体を飛躍的に改良するにはドーピングしかないようだ)。
“記録の歴史=用具の歴史”といえるのかもしれない。
野球界でもここ10年でバットに革命が起きた。
1997年にオリジナル・メイプル・バット社がカナダ産のメイプル(かえで)材でバットを作りはじめた。
“SAMBAT ”と名付けられたこのバットは90年代最高の打者・バリー・ボンズ に提供され、2001年、彼が年間73本のホームランを打つと急速に普及していった。
長年に亘ってホワイトアッシュばかりだったバットの素材に革命が起きたことで新規参入メーカーが乱立し、ヒラリッチ&ブラズビー社(ルイスビルスラッガー)とローリングス社(アディロンダック)がほぼ独占していたアメリカのバット市場も様変わりした。
僕とサムバットの出会いは2004年春。
アメリカの知人からの連絡で
「独立リーグで2年間プレーした選手が日本に戻ってバットの個人輸入をはじめるからよろしく。」
とのこと。
しばらくして本人から電話があり
「サムバットはアメリカではすでにメジャーなメイプル製バットなんです。」
というので、試しに購入。
で、使ってみたらビックリ!
特徴としては
1.軽い
国産バットでは珍しい800g台のものが中心。
2.弾きがいい
ホワイトアッシュ以上に硬い感触で打球が飛ぶ。
3.折れにくい
軽いのに硬くて折れにくい。
軽さ・反発力・耐久性のどれをとっても申し分ないサムバットは、翌2005年からウィルソン社の販売網にのって日本にも上陸したが、現在は撤退。
入手は個人輸入に頼るしかない状態である。
他にも北米数社のメイプル製バットが日本で手にはいり、実際に試してみたが、残念ながら品質の違いは歴然。
日本のメーカーのものは中国産の軟らかいメイプルでお話にならない。
サムバットがアメリカで“マネーバット”(お金を稼げるバット=成績を残せるバット)と呼ばれているのも頷けるのだ。
