1977年9月3日土曜日。
後楽園球場で行われた巨人-ヤクルト戦。
ライトポール際の“ジャンボスタンド”と呼ばれる2階席に少年は座っていた。
19時10分、いつのまにか紺色に染まった空に高々と舞い上がった白球は、まぶしいくらいのカクテル光線に照らされながら、きれいな放物線を描いて目の前のライトスタンドに吸い込まれていった。
王選手の756号ホームラン。
花火が上がり、くす玉が割られ、球場全体が歓喜の渦。
試合後、真っ暗な球場のマウンドにスポットライトを浴びて浮かび上がる王選手の姿。
スピーチの合間にかけられる賞賛の声と指笛。
生まれて初めてのプロ野球観戦でこの歴史的瞬間に立ち会った少年は、以後来る日も来る日も野球に没頭し、稀有な“野球生活”を送るのだった。
