「おいッ!みんな聞いてくれ!大事件だ!」


星野が必死の形相で部室のドアを開け入ってきた。


「おい、どうしたんだ星野」


「スカウトはうまくいったんだろうな。つーか無駄にテンションたけーなお前」


星野と同じ2年の工藤と小林がルービックキューブをチャカチャしながら反応した。


「いや、それがあっさり断られてしまった」


「おい、冗談だろ」


身長190センチの工藤がむくっと立ち上がる。カチャカチャしながら。


「いや本当だ。目がマジだった。殺されるかと思ったくらいだ。ルービックキューブの角で頭をグリグリされて」


「どういうことだ?まさかクラブチーム入りが決まってるとか?」


「いやそうじゃない。多分そんなクラブチームこの世に存在しないと思う」


「じゃ、何でだよ!」


工藤は星野の華奢な両肩をぐっと掴んで強く揺さぶった。ルービックキューブのパーツのように肩が反転するとでも思ってるのだろうか。


「すまん、脳が揺れる」


こんなとき星野はいつも思う。何故、工藤はこんな恵まれた巨体をしてるのにウチの部に入部したのだろうって。


「ちょっと落ちつけよ工藤」


小林があぐらをかいたままで工藤をたしなめる。基本的に動かない男だ。ルービックキューブがもっとも似合うタイプの理知的で計算に強そうな風貌をしている。メガネ?もちろんメガネはかけている。


「で、古田はなんでウチに入部しないんだよ」


「ああ、なんだか他の部に入部するつもりらしい」


「嘘だろ?」

「嘘だろ?」


対照的な2人がハモった。あまりに綺麗にハモったので部室の窓ガラスが振動した。


「ああ、俺も驚いたよ」


「何部だよ?」


「よく分からないけど、ケンカ部とか言ってた」


「献花部?」


「喧嘩部?」


「どっちだろーなー」

「はじめまして。星野って言うんだけど、ちょっといいかな?」


「え・・・」


思ったより薄汚れた廊下をひとりで歩いていると、突然、知らない人間から呼び止められた。誰?上履きの感じからすると2年か3年のようだ。


「古田君だよね?」


「・・・」


「あ、俺一コ上ね。2年生」


「あ、はい」


「入学初日からルール違反なのは分かってるんだけどさ、今日はあともう帰るだけでしょ?」


「え、ええ。今日は自己紹介と担任の短い挨拶があっただけです」


担任は歌舞伎役者のなんとかいう人にそっくりの男だった。1年で5発くらい殴られるのを覚悟しなきゃいけないと思った。この中学は近隣3つの小学校の卒業生たちが入学する。だからクラスメートの3分の1くらいは顔見知りで、ま、なんというか今日はみんなそわそわしていた。あと余談だけど好みのタイプの女子が何人かいた。


「えーと何の話かはうすうす気づいてるよね。いわゆるスカウトってやつだけど」


「せ、先輩。あ、僕、中学入ったばかりなんでまだこういうの呼びなれてなくて・・・」


「あははは、いいよそんなの気にしなくて。うちの部はゴリゴリの体育会系じゃないから」


「すみません」


「好きに呼んでいいよ。君のほうがこっちの腕は上なんだからさ」


といって両手をヘソの前に突き出して、カチャカチャしはじめた。ピンときた。この人は空気が読めない人だ。


周りの何人かの生徒達が怪訝な顔して僕たちをみてる。


「お言葉に甘えます。実は星野Bのお誘いは嬉しいんですが・・・」


「ビー?」


「あ、あの星野って友達が別にいるんです。彼、頭が超良くて別の名門私立に入学したんですけど」


「ああ、その星野君と区別したんだね。ABで」


「ご不満ですか?」


「いや不満ってわけじゃないけど、想定外つーか」


「Aのほうがいいですか?」


「い、いや・・・なんというかそういう問題でもないけどね」


目の前の星野先輩はとても複雑な表情を浮かべた。僕は相手にこういう表情をさせるのが好きだ。テレビで言ってたけど、こういうのはS(エス)っていうものらしい。


「年齢順だと星野先輩がAで、偏差値順だとBなんです」


さらに複雑な表情をした。さっきの表情はまだこれにくらべると単純だったことが分かる。


「悪いけど普通に先輩でお願いするよ。うん、そのほうが自然だ」


「前言撤回ですか」


「……」


「もし武士なら」


「えーと二言があってすまなかった」


この先輩はものすごく良い人だ。


「星野先輩」


「ちょっとドキドキするね、その響き。2年になるってこういうことかぁ」


やはりこの先輩はものすごくいい人だ。


「ドキドキしてるところすみませんが、僕、星野先輩の部には入部できません」


「え!?」


星野先輩は驚愕の表情を顔にうかべた。よくみるとものすごく二枚目だ。歩く道さえ選べば3日以内にジャニーズ事務所にスカウトされそうな顔立ちをしている。


「すみません」


「待ってよ、何か勘違いしてない?」


「いや、してないと思います」


「俺は柔道部でもボクシング部の人間でもないよ。ましてや相撲部でもね。へへへ」


細身の先輩がジョークを放った。こういうとき後輩とは愛想笑いをするものだろうか。僕は毅然とした態度をとった。とらざるをえなかった。


「ええ分かってます。皇族でもなさそうですね」


顔をしかめる星野先輩。


「敢えて説明するのが恥ずかしくなるけどさ、えーと俺が所属してるのはルービックキュー部だよ?」


「もちろん。僕をスカウトする部って言ったらそれ以外ないですから」


「どういうこと?うちのメンバーもずっと前から君の噂でもちきりだったんだよ?天才ルービックキュービストがやってくるって」


内心得意気になった。これは仕方ない。でも、すぐにその気持ちを打ち消した。僕はもう捨てたんだ、過去の栄光は。


「すみません。星野A」


「えー」


「冗談です」


「新入生なのに神経図太いよなぁ。で入部しないってのも冗談だよな?」


「いえ本当にルービックキュー部には入部しません」


「マジで?」


「はい」


「じゃ、何部に入るのさ?」


「喧嘩部です」


「な!?」


星野先輩は驚愕の表情を浮かべた。このように顔の筋肉を使うのはいいことらしい。

喧嘩師になろう。


朝起きるとつい口走っていた。


ずっと前から、いや、この世界に生れ落ちたときから運命づけられた夢に、何かの拍子で気づいてしまったかのようだ。


夢の中で何者かにスイッチを押されてしまったんだ。


ところで喧嘩?


実はよく分からないんだ。今まで一度も喧嘩なんかしたことないし。


喧嘩師って何?職業?


分からないことだらけだ。


でもこの夢を追いかけるのがとても自然なことのように思うんだ。


この道を、喧嘩道を突き進んでいけば自然と理解できるようになるのかもしれない。砂浜に海水がしみわたるように、シャツにトマトケチャップがにじむように。そんな予感だけはする。


12の春。


今日は中学の入学式。


僕は今朝、10年間に渡りずっと打ち続けてきたモノと訣別した。


すべては喧嘩師になるために。


何かを得るということは何かを失うということだ。


悲しんでなんていられない。


僕は、迷わずトイレにルービックキューブを流した。

ここに適当に登場人物を書く予定。9割自分用。ごめんなさい


ネタバレ(生意気な)もあるので一話目から読んで頂けたらと思います。


えーといきなり自戒


- あまり書き直さない。

- 書き直す暇があったらどんどん先を書く

- 古田の一人称は基本「僕」で。でも状況で変わることってあるし

- 読み手がワクワクする展開を(生意気な)





登場人物

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古田なんとか 12歳 中一


古田なんとか 父


妖精 正体は父


ルービックキュー部員


鈴木 2年。 ジャニーズ


工藤 2年 巨人 喧嘩強い AAA級


小林 2年 インテリ


チーム・ドーベルマン(仮) 15人


14人

1人 チビ 忠誠心と好奇心つよい


ドーベルマン14匹

1匹 元ボス すぐお座りする。ただものすごく本当は強い。S級


宮本久美 女子バレー部 かなり可愛い


倉岡なんとか 1年 古田のクラスメート 小学校からの友達 エロ界のホープ


不動洋介 古田のクラスメート。柏市生まれ。ホワイト餃子&英国好き。喧嘩かなり強い。AA級


キング 2年生 不明。 喧嘩強いS級


堀部 3年生 不明。 喧嘩強いAAA級


中嶋 3年生 不明。 喧嘩強いS級



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あらすじ

急に喧嘩師になりたいとよく分からない夢を抱いた思春期の古田なんとか(健一?)。天才ルービックキュービストとしての栄光をかなぐり捨て、未知の喧嘩道を歩み始める。待ち受けるのは鬼か仏かそれとも・・・・。


天才ルービックキュービストという設定ははたして生きてくるのか????


請うご期待。