喧嘩師になろう。
朝 起きるとつい口走っていた。
ずっと前から、いや、この世界に生れ落ちたときから運命づけられた夢に、何かの拍子で気づいてしまったかのようだ。
夢の中で何者かにスイッチを押されてしまったんだ。
ところで喧嘩?
実はよく分からないんだ。今まで一度も喧嘩なんかしたことないし。
喧嘩師って何?職業?
分からないことだらけだ。
でもこの夢を追いかけるのがとても自然なことのように思うんだ。
この道を、喧嘩道を突き進んでいけば自然と理解できるようになるのかもしれない。砂浜に海水がしみわたるように、シャツにトマトケチャップがにじむように。そんな予感だけはする。
12の春。
今日は中学の入学式。
僕は今朝、10年間に渡りずっと打ち続けてきたモノと訣別した。
すべては喧嘩師になるために。
何かを得るということは何かを失うということだ。
悲しんでなんていられない。
僕は、迷わずトイレにルービックキューブを流した。