2023年は3位となり、2024年は26年ぶりの日本一を狙う横浜DeNAベイスターズ。
今オフは今永昇太がポスティングシステムを利用してメジャー挑戦を表明し、近日中にも移籍先が正式に決定すると見られており、また中継ぎ陣を支えていたエドウィン・エスコバーもMLB復帰の意思を示し、退団。
またトレバー・バウアーの去就も現時点では不透明な状況もあり、投手陣の整備は課題の1つです。
そんな中で1月10日、2023年シーズンはメジャーで16試合に登板し、通算44試合に登板した実績を持つアンソニー・ケイ投手と契約合意したと発表しました。
【DeNA】アンソニー・ケイを獲得 1年契約1億1600万円、平均球速150キロ超の左腕(日刊スポーツ)
DeNAは10日、前アスレチックス傘下所属のアンソニー・ケイ投手(28)と来季の契約を結ぶことを発表した。1年契約で、年俸は推定80万ドル(約1億1600万円)。
16年MLBドラフト1巡目(全体31位)でメッツに入団し、先発、リリーフとして、メジャー通算44試合に登板。昨季、メジャーではカブスとメッツで16試合に登板し、防御率6・14だった。
平均球速150キロを上回る直球を軸とし、昨季、3Aでは40回2/3を投げ、イニング数を上回る58奪三振で奪三振率12・84をマークした。
チームは今オフ、NPB通算395試合登板とブルペンを支えたエスコバーが退団。米メディアでは、エース今永もポスティングシステムでカブスに移籍することが報じられた。
球団では、勝ちパターンの一角として、ウィックの獲得を発表。バウアーの去就が不透明な中、先発、リリーフともに経験があるパワー系左腕への期待は高まる。
今回は DeNAが獲得を発表したアンソニー・ケイについて紹介します。
メジャー通算44試合に登板 球威のあるストレートが最大の持ち味
アンソニー・ケイはアメリカ合衆国ニューヨーク州出身の28歳。左投左打の投手です。
2016年MLBドラフト1巡目追補(全体31位)でニューヨーク・メッツから指名され、プロ入り。しかし、同年10月に左肘のトミージョン手術を受けた。
2017年は手術の影響でシーズンを全休した。
2018年、傘下1A級でプロデビュー。1A+にも昇格し、合計で23試合7勝11敗、防御率4.26、123奪三振を記録した。
2019年は2A、3Aでプレーし、7月にはオールスター・フューチャーズゲームのナショナルリーグ選抜に選出。同年7月1日に交換トレードでトロント・ブルージェイズへ移籍した。
移籍後は2Aでプレーし、移籍前後の合計で26試合10勝8敗、防御率2.96、135奪三振を記録。
同年9月7日にメジャー契約を結び、同日の試合でメジャーデビュー。この年はメジャーで3試合1勝0敗、防御率5.79、13奪三振を記録した。
2020年はメジャーで13試合2勝0敗、防御率5.14、22奪三振を記録した。
2021年はメジャーで11試合1勝2敗、防御率5.61、39奪三振を記録した。
2022年はメジャーで1試合0勝0敗、防御率4.50、3奪三振を記録した。同年12月16日にDFAとなり、12月23日にウェイバーを経て、シカゴ・カブスへ移籍した。
2023年はカブスで13試合0勝0敗、防御率6.35、8奪三振を記録したが、9月11日にDFAとなった。9月14日にウェイバーを経てニューヨーク・メッツへ移籍。メッツでは3試合0勝0敗、防御率5.40、3奪三振を記録した。
この年はメジャーで16試合0勝0敗、防御率6.14、11奪三振を記録した。オフにウェイバーにかけられ、10月24日にオークランド・アスレチックスへ移籍したが、11月6日にFAとなった。
シーズン成績
上記はアンソニー・ケイのシーズン成績です。
今季はメジャーで16試合0勝0敗、防御率6.14、11奪三振、1.50WHIPを記録。メジャー通算5年間で44試合4勝2敗、防御率5.59、88奪三振、1.61WHIPを記録しました。
3Aでは今季32試合5勝1敗、防御率3.76、58奪三振、1.28WHIPを記録しました。
高い評価を受けているのは、奪三振率の高さ。
メジャー通算9.3K/9(85.1イニング/88奪三振)、3A通算10.1K/9(148.1イニング、167奪三振)を記録し、今季3Aでは12.8K/9(40.2イニング/58奪三振)とイニング数を超える三振を奪っています。
一方で課題は制球力。
メジャー通算5.0BB/9(85.1イニング/47四球)、3A通算4.9BB/9(148.1イニング/80四球)とあまり良い数字とは言えません。この制球のばらつきがメジャー定着を阻んだ原因と考えられます。
上記はアンソニー・ケイの球種別成績です。
2023年の投球割合は、ストレート:54.5%、スライダー:28.5%、スイーパー:13.2%、チェンジアップ:3.7%となっています。
まずストレートですが、平均152.3キロ・最速156.1キロを計測。スピンレート2463と良質な数字を残しています。ストレートの球速も安定していて、NPBの左腕と比較した場合、3位に相当する数字です。
スライダーはSwStr13.2%と空振りを奪えるボールです。スピンレート2602と言うのはMLB平均を大きく上回り、横変化が大きいと言うデータがあります。
また2023年から投げ始めたスイーパーは横変化がスライダーよりも大きいと言うデータがあり、特に左打者に対しては非常に有用なボールとして活用できているようです。
プレー映像
↑2023年の投球映像
↑プレー映像
投球フォームはスリークォーター気味です。リリースポイントのデータでは、MLB平均よりも10センチほど低いと言うデータがあり、また球離れも早い傾向にあると言えます。
ストレートは高めに使う事で空振りを誘うことが出来ていて、スライダー、スイーパーを組み合わせることで空振りを奪うことが出来ています。
制球に課題こそ残していますが、奪三振率の高さを踏まえれば、エスコバーの代わりを務めるには十分なスペックと言えます。勝ちパターンの一角を期待したい一人です。