2023年シーズンは5位に沈み、来シーズンに向けて巻き返しを狙う東京ヤクルトスワローズ
今シーズンのチームの課題となったのは投手陣
チーム防御率3.66、先発投手の防御率3.95はいずれも12球団ワーストと低迷。2桁勝利を挙げたのは小川泰弘のみで、来シーズンを見据える上では先発陣の強化は必須。
FA宣言した石田健大とも交渉を済ませており、更なる補強に向けて動きを活発にしていました。
そんな中で12月7日、今季サンフランシスコ・ジャイアンツ傘下3Aでプレーし、メジャー通算19試合に登板した経験を持つミゲル・ヤフーレ投手と契約合意したと発表しました。
ヤクルト、先発候補ミゲル・ヤフーレ獲得 奥村国際グループ部担当部長「早く順応できそう」(サンスポ)
ヤクルトは7日、来季の新外国人選手としてサンフランシスコ・ジャイアンツ傘下3Aのミゲル・ヤフーレ投手(25)と契約に合意したと発表した。1年契約で年俸は55万ドル(約8100万円)プラス出来高払い。背番号は「99」に決まった。
ヤフーレは身長185㌢、97㌔と恵まれた体格から、最速152キロの直球、カーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップ、ツーシームと多彩な変化球を操る右腕。
奥村政之国際グループ担当部長は獲得に至った理由として「素材型。日本に来て、日本型のスタイルのピッチャーにこれから変えながら、育てるというか、そういうニュアンスもありますけども、ただ大きいとか、球が速いというかそういう素材ではなくて、早く日本に順応できそうな感じがした。球種が多かったり、クイックができたりとか、日本のスタイルの投球をしているというところが、彼に決めたポイントでもあります」と説明した。
ベネズエラ出身のヤフーレは、2015年にアマチュア・フリーエージェントでヤンキースと契約し、20年にメジャーデビュー。米大リーグ史上初めて背番号「89」をつけて出場した選手として知名度を上げた。メジャー通算19試合で1勝3敗、防御率7・58の成績を残している。
今回はヤクルトが獲得を発表したミゲル・ヤフーレについて紹介します。
多彩な球種を操る 20年に球団内のプロスペクト15位にランクされた有望株
ミゲル・ヤフーレはベネズエラ・スリア州出身の25歳。右投右打の投手です。
2015年に17歳でニューヨーク・ヤンキースと契約して、プロ入り。契約後に傘下ルーキー級ドミニカン・サマーリーグヤンキースでプロデビューし、14試合0勝2敗、防御率1.42を記録した。
2016年はルーキー級でプレー。9試合1勝2敗、防御率2.87を記録した。
2017年は右肘の故障が判明。その後、トミージョン手術を受けた事でシーズンを全休した。
2018年は1Aで実戦復帰。14試合4勝3敗、防御率3.90を記録した。
2019年は1A+、2Aでプレー。合計で24試合9勝6敗、防御率2.14を記録。またオフには40人枠入りを果たした。
2020年は開幕前にMLB公式によるプロスペクトランキングで球団内15位にランクイン。8月31日にメジャー初昇格。この年はメジャーで3試合0勝0敗、防御率1.29を記録した。
2021年1月に交換トレードでピッツバーグ・パイレーツへ移籍。この年はメジャーで4試合0勝2敗、防御率8.40を記録した。
2022年はメジャーで12試合1勝1敗、防御率8.88と結果を残せず、オフにDFAとなると、12月2日にウェイバーを経て、サンフランシスコ・ジャイアンツへ移籍した。
2023年は1A、1A+、3Aでプレー。合計で22試合2勝6敗、防御率6.09と怪我や不調に苦しんだ。
シーズン成績
上記はミゲル・ヤフーレのシーズン成績です。
今シーズンはメジャーでの登板はなく、3Aで16試合2勝5敗、防御率6.09、62奪三振、1.54WHIPを記録しています。
今季は怪我で一時期離脱した事や打高傾向の強いPCLへ移籍した事もあって、成績は急落してしまった印象です。特にBB/9が年々悪化傾向にあり、今季は3Aでは自己ワーストの4.5BB/9と制球に苦しんでしまった印象です。
一方で奪三振率は9.2(60.1イニングで62奪三振)と3Aではキャリア最高の数値を記録しています。
また優秀なのは被本塁打数の少なさ。今季は60.1イニングを投げて、被本塁打9。これをHR/9で見ると1.3を記録し、3A通算では1.2HR/9を記録し、マイナー通算では0.7HR/9(469.2イニングで被本塁打34)と非常に優れた数値を残しています。
多彩な球種を起用に投げ分ける
上記はミゲル・ヤフーレの球種別成績です。
2022年の球種割合のデータを見ると、ストレート:30.4%、カーブ:25.9%、チェンジアップ:19.3%、スライダー:10.2%、カットボール:7.6%、ツーシーム(シンカー):6.6%となっていて、多彩な球種を投げ分ける技量があると言えます。
ストレートですが、22年に最速154.0キロ、平均149.6キロを記録。ただMLBでは平均球速はそこまで早い方とは言えず、それゆえに打ち込まれてしまっていると言えそうです。
チェンジアップは平均140キロ台を計測し、落差もあるため、ストレートと織り交ぜると非常に厄介なボールになりそうな印象で、またカーブは縦に落ちる軌道のボールで空振り率、三振率ともに優秀な数字を残しています。
スライダーは大きく横滑りする軌道で、2021年にMLB公式インスタグラムでは「厄介なボール」として紹介されたこともあるなど、データで見ても空振り率、三振率ともに優秀な数字を残しています。
プレー映像
↑プレー映像
投球フォームを見るとスリークォーター気味のフォームでセットポジションからボールを投じます。
縦に落ちるカーブや落差のあるチェンジアップ、横滑りの大きなスライダーとどの変化球も変化量があり、いずれも魅力があると言えます。
年齢も25歳と若いながらも、豊富な球種を有しているなど素材は魅力的です。今後の成長次第ではローテーションをしっかりと支えれる可能性もあり、注目したい存在です。