今回はプールCに属し、前回大会で初優勝。今大会は連覇を目指し、更なる強力メンバーを編成したWBCアメリカ合衆国代表について紹介します。
チームロースター
先発には通算195勝を挙げ、最多勝2度、オールスター選出3回を誇り、昨年41歳ながら11勝を挙げたベテラン右腕、アダム・ウェインライト。昨年自己最多10勝、飛躍が期待される右腕、ブレイディ・シンガー。KBOで3年間プレー後にMLB復帰し、昨年自己最多13勝、200.1イニングを投げた右腕、メリル・ケリー。巨人で3シーズンプレー後に2018年最多勝、12勝、202.1イニングを投じたイニングイーター、マイルズ・マイコラス。
更に2度のオールスター選出経験を持ち、19~21年サイヤング賞投票6位以内の実力者、ランス・リン。昨年MLBへ復帰し、先発・中継ぎで47試合に登板した右腕、ニック・マルティネス。昨年9勝、安定した制球力が武器の左腕、カイル・フリーランドも控えている。
クローザーには、昨年33セーブ、ポストシーズンで10試合防御率0.00/6セーブを挙げ、アストロズ世界一に貢献した右腕、ライアン・プレスリー。セットアッパーには、2020年新人王で昨年65試合15セーブ、26ホールド、防御率1.93、奪三振率14.2を叩き出した剛腕、デビン・ウィリアムズ。
その他の中継ぎ陣も豊富な陣容が揃う。
通算598試合に登板し、独特のスリークォーターから2シーム、スライダーを操る右腕、アダム・オッタビーノ。昨年自己最多67試合防御率1.56を記録し、各種投球系指標でMLBトップ級の数値を叩き出した右腕、ジェイソン・アダム。高い標高ゆえに打高傾向にあるロッキーズ所属ながらも57試合防御率1.79、34セーブを挙げた剛腕、ダニエル・バード。昨年自己最多19セーブを挙げた抜群の奪三振率を誇る右腕、デビッド・ベッドナー。自己最多65試合27ホールドを挙げたグラウンドボーラー右腕、ケンドール・グレーブマン。自己最多65試合防御率2.68、4.07K/BBの左腕、ブルックス・ラリーが代表入りした。
野手陣は前回大会をも上回る豪華なメンバーが集結した。
捕手は、3度のオールスター選出、昨年22本塁打/21盗塁、盗塁阻止率.441と抜群の強肩も武器、J.T.リアルミュート。
一塁は、打率.294、35本塁打、99打点で昨年のナ・リーグMVP、ポール・ゴールドシュミット。
二塁は、打率.326でナ・リーグ首位打者・シルバースラッガー賞のコンタクトヒッター、ジェフ・マクニール。
三塁は、打率.293、30本塁打、103打点、10年連続ゴールドグラブ賞受賞の名手、ノーラン・アレナド。
遊撃は、打率.298、21本塁打、100打点、27盗塁でMLB史上5人目の20HR、20盗塁、35二塁打、100打点を記録した屈指の安打製造機、トレイ・ターナー。
右翼は、5度のオールスター選出、5度のシルバースラッガー賞、5度のゴールドグラブ賞、18年シーズンMVPを受賞し、走攻守抜群の力を持つ、ムーキー・ベッツ。
中堅は、10度のオールスター選出、9度のシルバースラッガー賞、14年・16年・19年と3度のシーズンMVPを受賞し、MLB屈指のスーパースター、マイク・トラウト。
左翼は、自己最多30本塁打、107打点、25盗塁を記録し、アストロズの世界一に貢献した強打者、カイル・タッカー。
DHは、MLBシーズン新人最多本塁打記録保持者で昨年131打点でシーズン打点王の一塁手、ピート・アロンソ。
ベンチに控える選手もレギュラーを担える存在で、昨年24本塁打・87打点を記録したドジャースの正捕手、ウィル・スミス。ハワイ出身の日系4世、盗塁阻止率.406の強肩捕手、カイル・ヒガシオカ。19年首位打者、身体能力を生かしたダイナミックなプレーが魅力の遊撃手、ティム・アンダーソン。昨年新人で20本塁打、30盗塁を記録した将来のスター候補遊撃手、ボビー・ウィットJr.。昨年シーズン46本塁打でナ・リーグ本塁打王の左翼手、カイル・シュワーバー。走攻守三拍子が揃い、抜群の守備力を誇る中堅手、セドリック・マリンズが代表入りし、様々な起用法が可能と言えそうだ。
前回大会悲願の初優勝を果たしたアメリカは連覇を狙うべく更なるチーム強化を目指した。
昨年7月19日には、WBC出場を熱望されていたマイク・トラウトが代表入りし、主将を務めることが発表されるとその後も相次いで“ALL IN”を合言葉に代表入りした選手を発表するなど、明らかにWBCへの選手側の機運は変わりつつある。
しかし依然として壁は大きく、当初代表入りが発表されていた複数の投手が代表入りせず、そしてサイヤング賞3度受賞のクレイトン・カーショーも代表入りの意思を明確にしながらも故障時の保険加入が出来ず、代表入りを辞退せざるを得ない状況となった。
ただ前回大会の優勝は選手たちに大きな影響を与えたことは間違いなく、WBCが確実に前進している大会である事はいうまでもない。
今代表の活躍が次回大会以降にもつながる、大事な戦いとなる。
注目選手
マイク・トラウト 外野手 ロサンゼルス・エンゼルス
オールスター選出10回、シルバースラッガー9回、3度のシーズンMVP、通算300本塁打200盗塁、WARで5シーズン連続リーグ1位、“惑星最高の野球選手”とまで称されるスーパースター、マイク・トラウトがついにWBCへの参戦が実現した。
2009年MLBドラフト1巡目(全体25位)でプロ入りすると、2011年7月には19歳11か月でメジャーデビューを果たすと、“惑星最高の野球選手”のキャリアが始まった。
挙げていけばきりがないが、盗塁王1回、打点王1回、シルバースラッガー賞9回、オールスターMVP2回、ハンク・アーロン賞2回、週間MVP5回、月間MVP4回、オールMVPチーム3回とありとあらゆるタイトルをモノにしてきた。
そして2014年、2016年、2019年と3度のシーズンMVPを獲得。複数回のシーズンMVPを受賞した選手というのは21世紀以降、バリー・ボンズ、アレックス・ロドリゲス、アルバート・プホルス、ミゲル・カブレラ、ブライス・ハーパーしかおらず、現役選手で3度のMVP受賞はトラウトしか成し遂げていない偉業だ。
将来の殿堂入りは間違いないとされるトラウトがついにWBCに参戦する事が実現し、WBCへの機運は一段と高まっている。
期待されるのは大谷翔平との夢の対決。実現されるのか、命運を握るのはトラウトの活躍である事は言うまでもないだろう。
ムーキー・ベッツ 外野手 ロサンゼルス・ドジャース
オールスター選出5回、シルバースラッガー賞5回、ゴールドグラブ賞6回、2018年シーズンMVPと数々のタイトルを受賞しているムーキー・ベッツが初のWBCへ挑む。
2011年MLBドラフト5巡目(全体172位)でボストン・レッドソックスから指名され、プロ入り。プロ入り時の評価は高くなかったが、2014年にメジャーデビュー。
2015年からはセンターのレギュラーに定着すると自慢のスピードと高い守備力で一気に頭角を現すと、2016年には打率.318、31本塁打、113打点、26盗塁、出塁率.363を記録し、守備では両リーグトップのUZR+21.1、DRS+30と抜群の攻守を見せた。
2018年には自身初の首位打者、トリプルスリー、2度目のシルバースラッガー賞、3度目のゴールデングラブ賞、ワールドシリーズ制覇、自身初となるリーグMVPを受賞。
2020年からはドジャースへ移籍。自身2度目のワールドシリーズ制覇を達成し、2022年は自己最多の35本塁打を放ち、6度目のゴールドグラブ、5度目のシルバースラッガー賞を受賞した。
スピードとパワーを併せ持ち、MLB屈指の守備力を持つベッツが代表入りし、トラウトとの強力で夢のある右中間を結成された。
アメリカ代表のWBC連覇へ、ベッツの攻守に渡る活躍に注目したい。
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