2022年シーズンは最下位に沈み、今オフは大規模な選手の入れ替えを敢行している中日ドラゴンズ。
今シーズン大きな課題となったのは攻撃陣。
チーム打率.247はリーグ4位、チーム本塁打62、チーム得点414、リーグ得点圏打率.237はリーグ6位と明らかな攻撃力不足に陥っています。
本塁打ではビシエドの14本が最多で、チーム2位の9本の阿部、チーム3位の8本のアリエル・マルティネスは退団と補強をしないといけない状況になっています。
また京田、三ツ俣とショートでチーム2位、3位の出場を記録した2名も退団。ドラフトでは支配下で4名の内野手を指名するなど、急速な選手入れ替えを断行しています。
また昨年オフは新外国人補強を凍結し、育成枠でキューバからの選手獲得に留まり、シーズン中にレビーラ、ガルシアを支配下に昇格させましたが、結果を残せず、今オフは再度育成契約を結びなおす事も決まっています。
そんな中で11月22日、今季、メキシカンリーグのモンテレイ・サルタンズでプレーし、今季83試合打率.344、13本塁打、54打点を記録したオルランド・カリステ内野手を獲得したと発表しました。
【中日】新外国人カリステ内野手「投手/捕手以外どこでも守れる」勝利へ貢献誓う(中日スポーツ)
中日は22日、MLB・ジャイアンツなどでプレーしたオルランド・カリステ内野手(30)を獲得したと発表した。
カリステはドミニカ共和国出身で、身長184センチ、87キロ。右投げ右打ちで、内外野を守れるユーティリティープレーヤーだ。
2015年にロイヤルズでメジャーデビュー。17年にはジャイアンツで29試合に出場した。大リーグ通算31試合で打率1割3分5厘。今季はメキシカンリーグ・モンテレイでプレーした。
カリステは球団を通じて「中日ドラゴンズと2023年シーズンの契約ができたこと、日本で野球をする機会をいただけたこと、とてもうれしく思います。ピッチャーとキャッチャー以外はどこでも守ることができます。ドラゴンズのチームに必要なところで、自分の力を出して中日ドラゴンズの勝利に貢献したいです」とコメントした。
新外国人については、立浪和義監督が11日からドミニカ共和国を訪問して直接視察。21日に帰国していた。今回発表した2人の他に、中軸を担う大砲の獲得に向けて調整している。
今回は、中日が獲得したオルランド・カリステについて紹介します。
内外野をこなすユーティリティー 今季はメキシコで打率.344/13HR/OPS.961を記録
オルランド・カリステはドミニカ共和国・サントドミンゴ出身の30歳。右投右打の三塁手兼遊撃手です。
2010年8月28日に国際フリーエージェントとしてカンザスシティ・ロイヤルズと契約。傘下ルーキー級でデビューし、20試合打率.227、12打点、3盗塁を記録した。
2011年は1Aでプレー。81試合打率.208、3本塁打、31打点、11盗塁を記録した。
2012年は1A/1A+でプレー。2球団合計で125試合打率.262、14本塁打、62打点、10盗塁を記録した。
2013年は2Aでプレー。123試合打率.250、8本塁打、36打点、14盗塁を記録した。
2014年も2Aでプレー。96試合打率.241、11本塁打、37打点、9盗塁を記録した。オフにロイヤルズとメジャー契約を結び、40人枠入りを果たした。
2015年は3Aで開幕を迎えると、4月19日にメジャー初昇格を果たし、同日の試合でデビュー。この年はメジャーで2試合に出場し、無安打に終わった。3Aでは107試合打率.229、8本塁打、27打点、22盗塁を記録した。オフにノンテンダーFAとなったが、マイナー契約を結んで残留した。
2016年は2A/3Aでプレー。2球団合計で126試合打率.274、11本塁打、43打点、19盗塁を記録した。同年11月7日にFAとなると、同月11日にサンフランシスコ・ジャイアンツとマイナー契約、同月18日にメジャー契約を結んだ。
2017年は3Aで開幕を迎え、5月30日にメジャー昇格。同日の試合でスタメン出場すると、初安打となる二塁打をマーク。この年はメジャーで29試合打率.143、6打点、1盗塁を記録した。オフの11月27日に40人枠を外され、3Aに配属された。
2018年は3Aでプレー。125試合打率.270、11本塁打、48打点、14盗塁を記録した。オフの11月2日にFAとなった。
2019年1月24日、シアトル・マリナーズとマイナー契約を結んだ。しかし怪我の影響で3Aで25試合打率.278、2本塁打、10打点、3盗塁と結果を残せず、オフの11月4日にFAとなった。
2020年は新型コロナウイルスの影響でマイナーリーグの開催が中止となり、MLB球団との契約は結べなかった。
2021年は4月に独立リーグの球団と契約を結んだが、5月24日にニューヨーク・メッツとマイナー契約を結んだ。3Aでプレーし、64試合打率.235、2本塁打、24打点、13盗塁を記録した。9月17日に自由契約となった。
2022年1月27日にメキシカンリーグのモンテレイ・サルタンズと契約。この年はメキシカンリーグで83試合打率.344、13本塁打、54打点、12盗塁を記録している。
キャリアを通しての守備成績ですが
二塁 109試合/827.1回/14失策/守備率.970
三塁 288試合/2201.2回/40失策/守備率.941
遊撃 675試合/5616.1回/163失策/守備率.942
左翼 36試合/230.1回/4失策/守備率.917
中堅 46試合/356.0回/1失策/守備率.991
左翼 98試合/230.1回/9失策/守備率.949
今季の守備成績ですが
三塁 68試合/508.1回/11失策/守備率.936
遊撃 15試合/113.1回/1失策/守備率.983
と三塁でのプレーが増えていますが、失策数は多めで遊撃は出場数は減ってきています。ただスピード感がある選手ゆえ、守備範囲は広いと言えそうです。
シーズン成績
上記はオルランド・カリステのMLB/3A/メキシカンリーグでのシーズン成績です。
MLBでは2シーズンプレーし、通算31試合打率.143、6打点、1盗塁を記録しています。メジャーでは変化球への対応に苦慮し、定着できるまでには至らなかったというデータが残っています。
3Aでは6シーズンで通算506試合打率.252、46本塁打、181打点、76盗塁を記録しています。打高傾向の強いPCLに所属する球団でプレーしていましたが、三振率が通算20.9%と荒い傾向にあった事もあり、打率はあまり伸びていません。
ただ盗塁数は2桁を記録するシーズンが4度とスピード面においては十分なものを持っていると言えます。
そしてメキシコでは今季83試合打率.344、13本塁打、54打点、12盗塁を記録。ただ打高傾向にあるリーグゆえにこの数字に全幅の信頼を置くのは難しいものの、所属していたモンテレイは標高が高くない地域に本拠地があるため、ある程度は好材料と言えそうです。
3Aではゴロの比率が多め 一方で打球方向はレフトやライトへの比率が多い傾向に
上記はオルランド・カリステの3Aでの打球割合です。
まず特徴的なのはGB/FBの比率。3Aでのキャリアを通して、1を切った事はなく、非常に高い割合でゴロを打っていることになります。
他のマイナーやMLBでのデータを見ても、GB/FBが1を切るシーズンがないため、基本的には打球に角度を付けるというタイプではなさそうです。
打球方向の割合を見ると、センターへの打球よりも年々ライトとレフトへの打球割合が増えている傾向にあります。
プレー映像
↑メキシカンリーグでのプレー映像
↑メキシコでのホームラン集
↑三塁守備や走塁のプレー映像
映像を見ると左足を大きめに上げるフォームでスイングもやや大振り気味の傾向にあります。
気になるのはスイングの軌道的にインハイのストレートへの対応には苦慮しそうな印象で、外角の変化球への対応力などが求められそうです。
ただスイングスピード自体は速く、しっかりと捉えればバンテリンドームでも長打は打てそうな雰囲気もあります。
守備の映像を見ると、スピードや身体能力を生かしている印象があり、守備範囲は広い印象を感じます。肩の強さもあり、内外野どちらもこなせる可能性はあると言えます。
主力の内野手を複数放出し、ドラフトではスピード感のある内野手を集めている印象で、カリステも合致するタイプです。
ただチームではさらに長距離砲タイプの選手の獲得を進めるとの情報もあり、ビシエド、アルモンテ、カリステ、そして第4の外国人が1軍野手の3枠を争うことになりそうで、この競争にも注目です。