昨シーズンはリーグ2位となり、今シーズンは悲願のリーグ優勝、日本一を目指す千葉ロッテマリーンズ。
しかし今シーズンはリーグ5位と低迷。今後の巻き返しに向けて立て直しが急務となっている状況です。今シーズンは昨年好調だったリリーフ陣が不振。
昨年勝ちパターンを担った佐々木千隼が不振で5月末に2軍降格。また唐川侑己もコンディション不良で実戦での登板は0。また新外国人のタイロン・ゲレーロも防御率4点台後半と不安定な投球が続いています。
そんな中で6月9日、今季メキシカンリーグでプレー。またメジャー通算155セーブを挙げた実績を持つロベルト・オスナ投手を獲得したと発表しました。
【ロッテ】新外国人右腕、ロベルト・オスナを獲得「日本のファンの皆様の前で投げることが待ちきれません」(スポーツ報知)
ロッテは9日、MLBで通算155セーブを挙げている新外国人右腕、ロベルト・オスナ投手を獲得したことを発表した。
オスナは19年に38セーブでア・リーグ最多セーブのタイトルを獲得した超大物右腕。最速160キロの速球を主体に打者を圧倒する本格派リリーバーでブルージェイズ時代の17年には球宴に出場して39セーブをマークするなどメジャー通算155セーブを誇る。通算315イニングで348奪三振と奪三振能力の高さも魅力で17年WBCにメキシコ代表として出場するなど経験も豊富で、昨年からは故郷のメキシカンリーグで安定した投球を見せていた。
井口監督は「実績十分の投手。150キロを超える直球に多彩な変化球を持っており、さらにコントロールもよく頼もしい存在。1日でも早くチームに合流して勝利に貢献して欲しいと思います」とコメント。
オスナは「千葉ロッテマリーンズで投げられることにとても感謝し、日本のファンの皆様の前で投げることが待ちきれません。マリーンズがパ・リーグ、日本シリーズで優勝するために一生懸命チームのために頑張ります」と球団を通じコメントした。オスナは近日中にも来日する予定。
今回は、ロッテが獲得を発表したロベルト・オスナについて紹介します。
メジャー通算155セーブをマーク 2019年に38セーブで最多セーブ賞を受賞
ロベルト・オスナはメキシコ出身の27歳。右投右打の投手です。
2011年に16歳でメキシカンリーグのメキシコシティ・レッドデビルズと契約を結び、プロデビュー。その後同年8月にトロント・ブルージェイズと契約を結んだ。
2012年にルーキーリーグでマイナーリーグデビューを果たした。
2013年は1月にMLB公式サイトが選ぶプロスペクトランキングで90位にランクイン。しかしシーズンでは5月上旬に右肘を痛めると、トミージョン手術を受けたことでシーズンを終えた。
2014年はルーキーリーグで復帰し、その後1A+に昇格。2球団合計で8試合0勝2敗、防御率6.26、32奪三振を記録した。
2015年は開幕をメジャー25人枠で迎えると開幕第2戦でメジャー初登板。夏場にはクローザーに抜擢。
シーズンでは68試合1勝6敗20セーブ、防御率2.58、75奪三振を記録し、弱冠20歳にしてクローザーの役割を全うした。
2016年は72試合4勝3敗39セーブ、防御率2.68、82奪三振と前年を上回る成績でプレーオフ進出に貢献した。
2017年は第4回WBCメキシコ代表に選出。シーズンでは66試合3勝4敗39セーブ、防御率3.38、83奪三振を記録し、オールスター初出場を果たした。
2018年は4月10日に史上最年少で通算100セーブを達成。しかし5月8日に交際中の女性へ対する暴力行為で逮捕され、MLB機構から75試合の出場停止処分を受けた。(裁判では相手側が出廷しなかったため、有罪判決は受けなかった)
7月30日に交換トレードでヒューストン・アストロズへ移籍。移籍後は12セーブをマーク。この年は2球団合計で38試合2勝2敗21セーブ、防御率2.37、32奪三振を記録した。
2019年は66試合4勝3敗38セーブ、防御率2.63、73奪三振を記録し、アメリカンリーグの最多セーブ賞を受賞。
2020年は4試合に登板したが、右肘を故障。球団側からトミージョン手術を勧められたが拒否し、保存療法を選択。しかしその後は復帰することはなく、シーズンを終了。オフにFAとなった。
2021年5月にメキシコシティ・レッドデビルズと契約。シーズンでは24試合3勝0敗12セーブ、防御率1.09、27奪三振を記録し、怪我からの復活をアピール。オフにはMLBの複数球団からオファーがあったと報じられるもチームへ残留した。
2022年は12試合2勝0敗6セーブ、防御率1.35、15奪三振を記録。現地4月1日には「夏までに日本への移籍をまとめようとしている」と報じられるなど、動向に注目が集まっていました。
成績で読み解く
上記はロベルト・オスナのMLB/メキシカンリーグでのシーズン成績です。
2015年に20歳でメジャーデビューを飾り、クローザーを任されると通算155セーブをマーク。
2019年には38セーブを挙げ、最多セーブ賞を受賞するなど、メジャーを代表するクローザーの1人として実績を残しました。
しかし2020年に右肘を故障。トミージョン手術を勧める球団側の意向を拒否し、保存療法を選択。しかし思うほどの回復を見せれなかった事もあり、オフにFAとなり、退団。怪我の影響もあり、移籍先探しが難航。2021年はメキシコへ戻る事を決断。
打高傾向の強いメキシカンリーグですが、24試合12セーブ、防御率1.46、WHIP0.81と圧倒的な成績を披露し、怪我からの復活をアピール。
2022年も12試合6セーブ、防御率2.03、WHIP0.60と今季も圧巻の成績を残しています。
特に優秀なのは被本塁打数の少なさ。9イニングに換算した被本塁打率はメジャー通算0.80と非常に優れています。また奪三振率や与四球率も非常に優秀な数字を残しており、リリーフの一角として大きな期待が出来るのではないかと思われます。
メジャー時代はいずれのボールのクオリティーも高水準の数値
上記はロベルト・オスナのMLB時代の球種別成績です。
まずストレートですが、全盛期には最速161.4キロ、平均155.7キロを計測するなど抜群の力を見せていました。またボールのあ縦変化量も大きく、スピンレートも2400回転と高い数値でした。
しかし2020年は怪我の影響もあり、平均球速が4キロも下がっています。ただメキシコでは149~154キロの球速帯で投じているため、少なくともMLB最終年の2020年からは球速が落ちたという事はなさそうです。
またスライダー、カットボール、チェンジアップは高い空振り率をマークし、K%が25を超えるなど高いクオリティーを持ったボールであると考えられます。
怪我の影響がどこまであるか不透明な部分もありますが、力が落ちていなければ十分な結果を残す可能性がありそうです。
プレー映像
↑2022年の登板映像
↑2021年・2022年の登板映像
↑2019年の登板映像
映像を見ると目を引くのがやはりストレートの威力。まるで線を引いたかのような綺麗な軌道で捕手のミットに収まるシーンが多く見られます。
全盛期ほどの球速は出ていないのかもしれませんが、それであってもまだまだ力は十分に発揮できているという印象です。
変化球の精度も大きく衰えたという印象はなく、依然として高いレベルで能力を保っているという可能性があります。
本来ならMLBでプレーできる実力はあるでしょう。ただ過去のDV疑惑や2020年の肘の怪我を保存療法を選択した経緯などで、オスナが望むほどのオファーを提示した球団がいなかったと考えられます。
ただこの2年間でメキシカンリーグでの好成績を考えると、怪我への不安は払しょくできたでしょうし、NPB移籍で再度アピールすることでMLBへの復帰を模索する可能性は高いでしょう。
リリーフ陣再編を模索する中では屈指の実力者を加えた中でロッテの今後の戦いを注目したいところです。