昨シーズンは20年ぶりの日本一を達成し、29年ぶりのリーグ連覇を狙う東京ヤクルトスワローズ
しかし史上初となる開幕3連戦属決勝打を放つなど、10試合で打率.343、4本塁打、10打点と好調だったドミンゴ・サンタナが下半身のコンディション不良のため、離脱。現在は一時帰国中。
また昨年13本塁打、60打点を記録したホセ・オスナも21試合打率.236、2本塁打、10打点と状態が上がっていません。
今後の戦いを見据える上でも、テコ入れが必要な状況となっていました。
そんな中で4月29日今シーズンシカゴ・ホワイトソックス3Aに所属し、マイナー通算158本塁打をマーク。また昨年の東京オリンピック野球米国代表として銀メダルを獲得したパトリック・キブレハン外野手を獲得したと発表しました。
【ヤクルト】キブレハン外野手を獲得 背番号「2」5月末チームに合流へ(日刊スポーツ)
ヤクルトは29日、新外国人として前ホワイトソックス傘下3Aのパトリック・キブレハン外野手(32)を獲得したと発表した。
1年契約で推定年俸48万ドル(6000万円)。背番号は「2」で、5月末にはチームに合流する見通し。
キブレハンは米国出身の188センチ、97キロの右打者で、16年にパドレスでメジャーデビュー。メジャー通算137試合で打率2割8厘、10本塁打。マイナー通算893試合で打率2割7分9厘、158本塁打。昨夏の東京五輪では米国代表として銀メダル獲得に貢献した。
奥村政之編成部国際担当部長は「体形的にも、パワー的にも(05~08年に在籍した)リグス風な選手。勝負強さやしぶとさがあって。非常に好感をずっと持って見続けた選手。とてもいいタイミングで彼を呼ぶことができた」と評価。「うちにかなり合うんじゃないですか。すぐ溶け込んでくれると思います」と話した。
今回はヤクルトが獲得を発表したパトリック・キブレハン外野手について紹介します。
メジャー通算10本塁打、マイナー通算158本塁打を放った強打者
パトリック・ギブレハンは、アメリカ合衆国・ニューヨーク州出身の32歳。右投右打の外野手兼一塁手です。
大学時代は4年間アメリカンフットボールでプレーし、4年目にアメリカンフットボールのシーズン終了後に野球部へ参加。
2012年のMLBドラフト4巡目(全体131位)でシアトル・マリナーズから指名され、プロ入り。契約後に1A-の球団でプロデビューし、72試合打率.301、12本塁打、52打点を記録。
2013年は1Aで開幕を迎え、シーズン途中に1A+に昇格。2球団合計で128試合打率.303、16本塁打、90打点を記録した。
2014年は1A+で開幕を迎え、シーズン途中に2Aに昇格。2球団合計で138試合打率.295、20本塁打、103打点を記録した。
2015年は3Aに昇格。シーズンでは123試合打率.256、22本塁打、73打点を記録した。またこの年のオフに交換トレードでテキサス・レンジャーズへ移籍した。
2016年は開幕を3Aで迎えたが、5月29日にトレードでマリナーズへ復帰。8月4日にはサンディエゴ・パドレスへ移籍。20日にメジャーに昇格し、同日の試合でメジャーデビュー。また翌日の試合ではメジャー初本塁打を放った。
9月28日にはシンシナティ・レッズへ移籍し、この年はメジャーで8試合打率.190、1本塁打、2打点を記録した。
2017年は自身初の開幕ロースター入りを果たすと、115試合打率.208、9本塁打、26打点を記録した。
2018年は5月に自由契約となると、同月9日にニューヨーク・メッツとマイナー契約を結び、移籍。9月6日に金銭トレードにアリゾナ・ダイヤモンドバックスへ移籍した。
この年はメジャーで9試合打率.231,0本塁打、0打点を記録。オフに自由契約となり、ピッツバーグ・パイレーツとマイナー契約を結んだ。
2019年は5月10日にトロント・ブルージェイズへ移籍。移籍後は2A、3Aでプレーし、この年は3球団合計で125試合打率.255、32本塁打、84打点を記録した。
2020年は新型コロナウイルスの影響でマイナーリーグの開催が中止となり、公式戦への出場はなかった。
2021年は2月にパドレスとマイナー契約を結んだ。5月12日にアクティブ・ロースター入りを果たし、3年ぶりにメジャーに復帰。またシーズン途中に開催された東京オリンピックの野球アメリカ代表に選出され、銀メダルに貢献。
この年はメジャーで5試合打率.250、0本塁打、2打点を記録したが、オフにFAとなった。
2022年は2月にシカゴ・ホワイトソックスとマイナー契約を結んだ。3Aで開幕を迎え、3試合打率.417、2本塁打、3打点を記録したが、4月12日に自由契約となった。
シーズン成績
上記はパトリック・キブレハンのMLB/3Aでのシーズン成績です。
メジャーでは4年間プレーし、2017年にキャリア最多となる115試合に出場。9本塁打、26打点を記録しています。しかしそれ以降はメジャーでの出場機会は減り、2021年に3年ぶりにメジャーへ復帰したものの5試合の出場に留まりました。
しかし3Aでは2018年からは3年連続でシーズン20本塁打以上をマークしています。OPSも.800超を記録するなど自慢の長打力を発揮しています。
今季は3試合の出場ではあるものの、打率.417(12-5)、2本塁打、3打点と結果を残しています。
ただ昨年の成績を見ると、ホームとビジターでは成績が大きく乖離している点がある事や、対右への脆さを感じさせるデータも残っています。
またキャリアを通して出塁率が低い傾向にあり、選球眼は期待薄という可能性もあります。
ただ神宮をホームとするという点を考えると長打力を生かすことはできるのではないかと考えられます。
MLBレベルのボールに苦慮 またゾーン管理にも課題が残る
上記はパトリック・キブレハンの球種別成績と打球関連のデータです。
球種別成績ですが、チェンジアップ以外への数字は良いとは言えず、MLBレベルのボールに苦慮してきたという印象があります。
また球種別のコンタクト率も75%以下というデータが並び、ストライクゾーン内であれば多少は上昇するものの、やはり捉えきれていないという印象です。
また選球能力という部分も気になるところでWhiff%の数字が年々上昇し、昨年は少ない打席数とはいえ52.9%とかなりの割合で空振りをしている事が分かります。
こういったデータを見る限りは、NPBの変化球に対してどこまで耐える事が出来るのかという点が一番の課題になると思われます。
プレー映像
↑2021年のプレー映像
↑2021年の3Aでのホームラン集
映像を見ると捉えた時の打球は長距離打者であると言えるものが多く、オスナよりも打球に角度を付けることはできるだろうという印象はあります。
本拠地が神宮という事を考えれば、一定数の本塁打の数というものは期待したいという印象ですし、下位打線で長打があるという選手がいるだけでも打線に厚みを増すことができるでしょう。
ただデータでも分かる通りに、コンタクト面も含めて粗削りであるという点を考えると打率は2割台前半に留まる可能性は十分あると言えます。
確実性は乏しい打者ですが、長打力を生かした爆発力で打線の一角を担えるか注目したいところです。