今シーズンはリーグ5位に終わり、2021年はAクラス返り咲きを目指す北海道日本ハムファイターズ
来シーズンに向けては投手陣の整備が求められています。
シーズン防御率4.02(リーグ4位)、先発防御率4.08(リーグ4位)、救援防御率3.93(リーグ4位)となっていて優勝したソフトバンクとは1点台~2点台の大きな差が開いている状況です。
また今オフはエースの有原航平がポスティングシステムによるメジャー挑戦を表明。またニック・マルティネスの退団が決まり、外国人枠も投手2、野手2と来年も継続される外国人枠5を考えると補強が必要という印象でした。
そんな中で12月3日、今シーズンアトランタ・ブレーブスでプレーし、メジャー通算13勝を挙げたロビー・アーリン投手を獲得したと発表しました。
日本ハムが新外国人左腕アーリン獲得 メジャー通算115試合登板 栗山監督「ローテーションの一角を」(スポニチ)
日本ハムは3日、前ブレーブスの左腕、ロビー・アーリン投手(30)を獲得したと発表した。
09年ドラフト3巡目でレンジャーズに指名され、13年パドレスでメジャーデビュー。18年にキャリアハイの39試合、4勝をマークした。メジャー通算115試合13勝20敗、防御率4.85を記録している。
アーリンは球団を通して「ファイターズの一員としてプレーできる、すばらしい機会に感謝する。野球選手として成長できる大きなチャンス。与えられた役割を十分に果たす」とコメント。
栗山監督は「“投球術を心得ている”というのが第一印象。ストレートの平均速度は140キロ台中盤だが、制球力の高さが際立つ。特徴のある大きなカーブとチェンジアップを中心に豊富な球種を駆使し、攻め方を組み立てられる。ローテーションの一角を担ってくれると信じている」と期待した。
今回は日本ハムが獲得したロビー・アーリン投手について紹介します。
メジャー通算13勝をマーク メジャー通算四球率1.83の抜群の制球力が武器
ロビー・アーリンはアメリカ合衆国・カルフォルニア州出身の30歳。左投右打の投手です。
2009年MLBドラフト3巡目(全体93位)でテキサス・レンジャーズに指名され、プロ入り。契約後にルーキーリーグでプロデビューし、3試合に登板した。
2010年は1Aで28試合6勝3敗1セーブ、防御率2.12、125奪三振を記録。
2011年は1A+、2Aでプレー。1A+では9試合3勝2敗、防御率2.14、62奪三振を記録すると5月からは2Aに昇格。11試合5勝2敗、防御率4.32、61奪三振を記録。7月31日にトレードでサンディエゴ・パドレスへ移籍した。
移籍後は傘下の2Aで6試合1勝0敗、防御率1.38、31奪三振を記録。
2012年は2Aで11試合3勝1敗、防御率2.92、72奪三振を記録。
2013年は3Aで開幕を迎えると、4月24日にメジャー契約を結び、30日の試合でメジャーデビュー。この年はメジャーで11試合3勝3敗、防御率4.12、40奪三振を記録した。
2014年は開幕ローテーション入りを果たしたが怪我の影響で13試合4勝5敗、防御率4.99、46奪三振と成績を伸ばせなかった。
2015年は怪我などの影響もあり、3試合1勝2敗、防御率4.76、10奪三振に終わった。
2016年は3試合1勝1敗、防御率4.02、13奪三振に留まると、5月に左肘のトミージョン手術を受け、残りシーズンと2017年シーズンを全休した。
2018年は開幕ローテーション入りを果たすと、39試合4勝7敗、防御率4.21、88奪三振とキャリア最高の成績を収めた。
2019年は37試合0勝1敗、防御率5.37、52奪三振を記録。オフの10月31日にFAとなった。
2020年1月にピッツバーグ・パイレーツとマイナー契約を結び、7月20日にメジャー契約。パイレーツでは2試合0勝0敗、防御率5.40と結果を残せず、8月2日にDFAとなり、8月7日にアトランタ・ブレーブスへ移籍。
ブレーブスでは7試合0勝0敗、防御率8.48と打ち込まれ、9月12日にDFA、14日には自由契約となり、退団。2球団合計で9試合0勝0敗、防御率8.10、25奪三振を記録した。
成績で読み解く
上記はロビー・アーリンのMLB、3Aでのシーズン成績です。
特に際立っているのはコントロールの良さです。
与四球率(BB/9)はメジャー通算1.83を叩き出し、全てのシーズンにおいて与四球率が2.50以上の数字になったことがないという過去に来日した外国人投手と比べても破格の数値を叩き出しています。
その制球能力が抜群に引き出されたシーズンがメジャーで自己最高の成績を収めた2018年。
この年は109.0イニングで与四球わずか12個。0.99BB/9はこの年100イニング以上を投げた両リーグの投手の中でトップ。
またK/BB(与四球1つあたりの奪三振数。3.5を超えると優秀)ではこの年7.33K/BBを叩き出し、パドレスで100イニング以上投げた投手の歴代トップ記録を叩き出しています。
一方でこの制球力がありながらもメジャーでは防御率4点台を下回ることはなく、イニングを超える被安打数を許しています。
球威不足で制球力を生かしきれず スライダー、ツーシームの頻度upが活躍のカギに?
上記はロビー・アーリンのMLBでの球種別成績です。
抜群の制球力を有しながら、メジャーで打ち込まれている原因の1つに挙げられているのがストレートの球威不足です。
最速150キロを計測したシーズンもありますが、平均球速は最高146キロで今季平均144.5キロと年々平均球速が向上し、打者のレベルも年々上がっているMLBでは大きな結果を残すのは難しくなってしまった印象です。
ストレートの被本塁打数もほかの球種を大幅に上回る本数を打たれており、軸となるボールとして使いづらくなっています。
一方で決め球として高いクオリティを示しているのがカーブ。今季は被打率が上がったものの、18~19年シーズンは被打率.200以下を記録。またスピンレートが2590回転、落差1.63m(MLB平均1.37m)と高いK%を生み出しています。
ただ日本での活躍を占う上で、期待したいのが今季使わなかったスライダー、ツーシームの解禁です。
今季はスライダー、ツーシームを使用しない投球スタイルとなり、奪三振率が急増しましたが元々はゴロを打たせるタイプで元々1.50以上だったGB/FBが今季0.58と一気にフライや被本塁打の増加を招きました。
スライダー、ツーシームは平均球速がストレートと近く、打者の手元で変化して空振りやゴロを狙える事や札幌ドームの広さを最大限生かすことが出来ます。
映像で見る
球種別投球集
球種別三振集
映像を見ると低めのゾーンへとしっかりと投げ切っている印象で、捕手の構えたミットへと投げ込むコマンド力の高さも感じさせます。変化球の映像を見るとやはりカーブの落差というの目につきます。
一度打者の目線が上がってしまうような軌道を描き、大きな落差で落ちてくるわけですからタイミングがずれると立ち遅れて、見逃しや空振りが奪えている印象。
チェンジアップは左右問わずに投げ込んでいる印象でブレーキが利き、ストレートとのコンビネーションに期待が持てます。
そしてスライダーですが、球速がストレートと差が少なく、カットボールのような軌道を描いている印象があり、「スラッター」としての質があるような印象で、これをNPBで解禁すれば攻略に非常に難儀する可能性もあります。