矢野燿大監督を迎え、2019年シーズンの戦いを続けている阪神タイガース
交流戦直前には2位に浮上するなど首位追撃に向けて交流戦へと突入したものの、投打の噛み合わない苦しい戦いが続き、交流戦は6勝10敗2分と負け越しを喫しました。
また交流戦再開直後は22イニング連続無得点と苦しみ、現在チーム得点・本塁打は共にリーグ5位と慢性的な得点力不足が続いています
また守備陣を見てもエラー数81はリーグワーストを記録するなど、守備面の引き締めも必要と見る声が上がっていました。
そんな中で7月4日、複数のスポーツ紙が阪神がメジャー通算72本塁打を記録しているヤンハービス・ソラーテ内野手を獲得の最有力候補に挙げていると報じました
阪神緊急補強 メジャー75発!ソラルテ最有力 両打ち内野手(デイリースポーツ)
阪神が新外国人選手の最有力候補として、ヤンガービス・ソラルテ内野手(32)=マーリンズ傘下3A=を調査していることが3日、分かった。両打ちで、メジャー通算75本塁打のパンチ力を持つ強打者。リーグ戦再開後も低迷が続く打線の起爆剤として契約合意を目指す。
後半戦の巻き返しへ向けて、阪神が新戦力の緊急獲得を目指す。リーグ戦再開後も22イニング連続無得点と、打線の不振が失速の一因となっている。起爆剤として白羽の矢が立ったのが、ソラルテだ。
球団幹部は「調査しているのは事実です。詳しく調べています」と最有力候補としてリストアップしていることを明言。昨年は最終的にマルテを獲得することになったが、ソラルテもリストに挙げて本格的に調査を進めていた。今回は打線の低迷も受け、改めて獲得を目指すことになった。
ベネズエラ出身のソラルテは、両打ちの内野手。メジャー通算670試合で打率.258、75本塁打、307打点を記録している。主に三塁手としてプレーしてきたが、二塁や遊撃も守れる。
2017年にはベネズエラ代表として第4回WBCに出場。シーズンではパドレスで128試合、自己最多の18本塁打、打率.255、64打点を記録した。
今季はジャイアンツでプレー。5月にFAとなった後、マーリンズとマイナー契約を結び、14試合で打率.314、1本塁打、9打点だった。
調査は進んでおり、球団幹部は「前半戦は間に合わないので、できるだけ早くやりたいと思っています」と交渉の見通しを明かした。契約合意に至れば、後半戦からの合流を目指すことになる。
現在、1軍の外国人4枠はガルシア、ジョンソン、ドリス、マルテで埋まっている。ただ、2軍も含めて先発投手は豊富。ソラルテを獲得できれば、ガルシアを外して、マルテと助っ人野手2人を打線に組み込むこともできる。
※7月7日 阪神タイガースと契約合意
メジャー通算75本塁打 昨シーズンまで5年連続2桁本塁打を記録した打力が武器
ヤンハービス・ソラーテは、ベネズエラ出身の32歳 右投両打の内野手です。
2005年にミネソタ・ツインズと契約を結んで、プロ入り。2011年までに2Aに昇格したものの、退団。
2011年12月2日にテキサス・レンジャーズとマイナー契約を結ぶと、2012年は3Aに初昇格し、130試合打率.288、11本塁打、54打点を記録した。
2013年も3Aでプレーし、133試合打率.276、12本塁打、75打点を記録したものの、メジャー昇格は果たせずにFAとなった。
2014年1月にニューヨーク・ヤンキースとマイナー契約を結び、4月2日にメジャー契約を結んで、昇格。同日のアストロズ戦でプロ初出場を果たした。
シーズン序盤は打率3割台を維持していたものの、6月から不振に陥ると7月には3Aに降格。しかし故障者が出た関係でメジャーに復帰し、ヤンキースでは75試合打率.254、6本塁打、31打点を記録した。
7月22日に交換トレードでサンディエゴ・パドレスへ移籍。移籍後は三塁のレギュラーに定着し、パドレスでは56試合打率.267、4本塁打、17打点を記録し、この年は2球団合計で136試合打率.260、10本塁打、48打点と結果を残した。
2015年は開幕ロースター入りを果たすも、三塁には新加入選手が定着した事で内野のユーティリティーとして起用されると5月は故障した選手の代わりに一塁のレギュラーに定着し、7月には三塁のポジションを確保し、三塁手として92試合に出場。
この年は152試合打率.286、14本塁打、63打点と前年を上回る好成績を残した。
2016年は正三塁手として開幕ロースター入りを果たしたが、シーズン序盤に右足を痛め、離脱。5月末に復帰後は二塁手としてプレーを続けたが、7月からは再度三塁手として固定された。
怪我の影響もあり、109試合と出場数を減らしたが打率.286、15本塁打、71打点と成績自体は前年の成績を上回った。
2017年はシーズン開幕を前に第4回WBCベネズエラ代表に召集された。シーズンでは主に二塁手として起用され、128試合打率.255、18本塁打、64打点と本塁打では自己最多の本数を記録した。
2018年1月に交換トレードでトロント・ブルージェイズへ移籍。ブルージェイズでは122試合打率.226、17本塁打、56打点を記録したものの、オフの11月30日にノンテンダーFAとなり、退団。
2019年2月にサンフランシスコ・ジャイアンツとマイナー契約を結び、招待選手としてスプリングトレーニングに参加すると3月28日にメジャー契約を結び、40人枠入りした。
ジャイアンツでは28試合打率.205、1本塁打、7打点と結果を残せず、5月7日にDFAとなり、退団。6月7日にはマイアミ・マーリンズとマイナー契約を結び、3Aで15試合打率.314、1本塁打、9打点を記録している。
守備位置に関しては、メジャーでの通算成績で見ると三塁手として405試合、二塁手として178試合、遊撃手として47試合、一塁手として42試合、左翼手として16試合に出場。
基本的には三塁手か二塁手として見ていく選手といえそうで、守備力に関してはメジャーでも平均的なデータを記録していて、日本でも問題なくプレーできる可能性があると考えられます。
打撃成績
上記がヤンハービス・ソラーテのメジャーでの打撃成績です。
この間3Aでプレーした時期もありますが、この6年間はほとんどをメジャーで過ごしている選手といっても過言ではありません。
2014年から2018年にかけてメジャーで5年連続で2桁本塁打を放っており、選手のタイプとしては中距離打者という印象はありますが、長打力もそれ相応に期待できる印象があります。
コンタクト能力の高さは大きな武器
注目したいのはコンタクト率の高さです
まずコンタクト率を見ると、1年目から89.2%を記録し、数字こそ落ちていますが今季は82.1%を記録するなど高い数値を記録しています。
またストライクゾーンコンタクト率を見ても、常時90%を超える高い数字を記録するなど、ボールをバットに当てる能力に関しては高い能力を持った選手といえそうです
阪神はここ最近の外国人野手補強においてコンタクト率の高さを重視している傾向にあります。大きな影響を与えたのは、ライネル・ロサリオの失敗があると思われます
ライネル・ロサリオ→73.3% (MLB通算)
ジェフリー・マルテ→77.0% (MLB通算)
エフレン・ナバーロ→83.0% (MLB通算)
ヤンガービス・ソラルテ→86.2% (MLB通算)
ロサリオはメジャーではキャリア通して一度もコンタクト率が80%を超えた事がありません。マルテも通算では80%を下回るコンタクト率でしたが、昨シーズンは自身初めてコンタクト率が80.3%に到達するなど改善
の傾向がみられる中で獲得。
ナバーロの昨年やマルテの現状を考えると、コンタクト率がシーズンで80%以上を記録する打者に一定の感触を掴みつつあるのかもしれません
ソラルテの場合は、ナバーロやマルテを凌ぐコンタクト率ですから期待値は高いといえそうです
またコンタクト率の良さを示しているのがK%の数値。
2019年シーズンは打数の関係で高い数値ですが、昨年までは15%を切る三振率を常時記録しています。
一方でBB%、BB/Kは平均的な数値となっていて、選球眼に関しては可もなく不可もなくという可能性がありそうです
対右投手、対左投手の傾向、球種別打率
上記はソラーテの年度別の対右、対左の成績です
簡単にまとめると以下のようになります
①右打席では本塁打数は少ないが、打率は良い。ただし2018年は右打席でも8本塁打を放っている
②左打席では打率は残せていないが、本塁打数が多く、OPSも高くなっている
上記はソラーテの球種別打率です
これはあくまで対右、対左どちらも合計した数字であるため、単純には計ることはできませんが、ストレート、ツーシーム、カットボールに対して高打率が残っています
一方でチェンジアップ、カーブ、スライダーを苦手としている傾向にあり、実戦の場でどのような対応を取るか見極めたいところです
映像で見る
6年にもわたり、メジャーでプレーしていた選手ですから、映像は非常に豊富です。
中距離打者ではありますが、長打も十分狙えるだけの力があり、守備の動きも軽快で十分に貢献できるだけの力を持っているようです。
ホセ・ロペス(DeNA)とコンタクト率やストレート系球種への強さという点で類似点があり、短い期間での対応が求められますが、NPBでも十分戦える能力を有しているという印象です。
外国人枠という兼ね合いはあり、ガルシア、ドリス、ジョンソン、マルテと1軍は埋まっているだけに、矢野監督がどのような編成の決断を下すのか注目したいところです