現在、交流戦5カード連続勝ち越し、セリーグ首位を走る読売ジャイアンツ
丸の加入に加えて、5月終盤からは大城を一塁で起用し、交流戦からは若林が二塁に定着し、打撃陣の勢いがチームの上位争いを牽引しています
しかし課題となっているのはリリーフ陣
中川を抑えに起用していますが7回、8回を担う投手は流動的で現在リリーフ陣の防御率はセリーグ4位と今後を考えれば、リリーフ陣の強化は5年ぶりのリーグ制覇に不可欠な状況です
そんな中で6月21日付の日刊スポーツが、巨人が今季アリゾナ・ダイヤモンドバックス3Aでプレーするルビー・デラロサ投手の獲得調査を進めていると報じました
巨人緊急補強へ!メジャー26勝159キロ右腕調査(日刊スポーツ)
「日本生命セ・パ交流戦」で2位につける巨人が、シーズン途中の緊急補強に乗り出す。課題のブルペン強化へ、MLB通算26勝の実績を持つ、ダイヤモンドバックス3Aのルビー・デラロサ投手(30)の獲得調査を進めていることが20日、分かった。
セ・リーグ首位を走る巨人が、水面下で新外国人の獲得調査を進めていた。急務とされるブルペン強化へ、ドミニカ共和国出身のデラロサをリストアップした。183センチ、95キロのパワーピッチャーで、今季99マイル(約159キロ)をマークした直球に加え、落差のあるチェンジアップ、スライダーが持ち味。19年は3Aで18試合、2勝0敗1セーブ、防御率2.49と安定した成績を残している。
デラロサは11年にドジャースで初めてメジャー昇格を果たすと、13年からレッドソックス、15年からダイヤモンドバックスでキャリアを積み上げた。15年には先発として14勝(9敗)をマーク。メジャー通算26勝を誇るも、11年と17年にトミー・ジョン手術を受け、17年終了後にFAとなり、ダイヤモンドバックスと2年のマイナー契約を結んだ。近年はセットアッパーとして終盤のショートイニングを任されている。
原監督率いる巨人にとって最大の補強ポイントに合致する。ここまでクローザー中川につなぐ7、8回を任せる投手を固定できないままシーズンを戦ってきた。昨年左膝の手術を行ったマシソンは、交流戦開幕から1軍復帰したが、18日のオリックス戦で右内転筋を肉離れして離脱中。今季から守護神候補として加入したクックは、4月23日に右肘違和感で2軍に降格した。マシソンの登録抹消により、19日に急きょ1軍復帰したが、同日に同点の8回から登板して勝ち越しを許すなど、本来の姿を取り戻せてはいない。
救援陣の防御率は現在リーグ4位。高木、田原、沢村、宮国、鍬原、森福らも奮闘し、一定の役割を果たしているが、デラロサが加入すればブルペンに厚みが増す。レギュラーシーズンは残り77試合。終盤のヤマ場、さらに続くポストシーズンに向けて、最善の準備を進めていく。
今回は、読売ジャイアンツが獲得調査を進めていると報じられたルビー・デラロサ投手について書いていきます
※6月22日 読売ジャイアンツが獲得を発表
メジャー通算26勝 17年にトミージョン手術を受けるも今季99マイルを計測するまでに復活
ルビー・デラロサは、ドミニカ共和国出身の30歳
右投右打の投手です
2007年にアマチュア・フリーエージェントとしてロサンゼルス・ドジャースへ入団。
2011年5月24日にメジャー初昇格を果たし、同日のアストロズ戦でメジャーデビュー。2度目の登板となったマーリンズ戦でメジャー初勝利を記録。6月7日フィリーズ戦では初先発し、5回1失点で先発初勝利を記録するなど、13試合4勝5敗、防御率3.71を記録した。
しかしシーズン最終登板となった試合で右肘側副靭帯を断裂し、トミージョン手術を受けた。
2012年8月21日にメジャーのマウンドで復帰したものの、登板はこの1試合に留まり、2012年10月4日にボストン・レッドソックスへ移籍。
2013年は3Aで24試合3勝3敗、防御率4.26を記録し、8月にはメジャーへ昇格し、11試合0勝2敗、防御率5.56を記録した。
2014年は自己最多となる19試合に登板し、4勝8敗、防御率4.43、キャリアでは自身初となる100イニングをクリアした。2014年12月12日に交換トレードでアリゾナ・ダイヤモンドバックスへ移籍。
2015年は先発ローテーションの一角に定着すると32試合14勝9敗、防御率4.67、188.2イニングを投げ、150奪三振を奪うなどキャリアハイの成績を残した。
2016年は、5月26日に右肘を痛めると長期離脱し、9月に復帰したがわずか2試合の登板に留まり、13試合4勝5敗、防御率4.26と苦しみ、12月にノーテンダーFAとなるも翌年1月にマイナー契約で再契約を結んだ。
2017年はリリーフへ転向。3Aでは19試合1勝2敗、防御率3.10を記録すると6月23日にメジャー昇格を果たし、9試合0勝1敗、防御率4.70を記録するも右肘を故障し、トミージョン手術を受け、9月1日に自由契約となり、11月に2年間のマイナー契約でダイヤモンドバックスと再契約し、2018年はシーズン通してリハビリに費やした。
2019年はダイヤモンドバックスのスプリングトレーニングに招待選手として参加し、3Aでは18試合2勝0敗1S、防御率2.49、21.2回を投げて29奪三振を奪うなど、2年ぶりの復帰シーズンながらも好成績を上げています。
球種に関しては、2017年までのメジャーでのデータに基づくと
平均95.6マイル(約153.8キロ)のストレート
平均85.1マイル(約136.9キロ)のスライダー
平均87.5マイル(約140.8キロ)のチェンジアップ
平均94.1マイル(約151.4キロ)のツーシーム
平均88.9マイル(約143.0キロ)のカットボール
の5球種を投げていますが、ストレート、スライダー、チェンジアップの使用割合が高く、この3球種がメインの持ち球であると考えて良いと思われます
ストレートに関しては2017年の最速が99.2マイル(約159.6キロ)を計測した事を考えると、日刊スポーツが報じた今季最速99マイルと同スピードを計測しており、トミージョン手術を受けてから2年も空いた事で依然同様なボールが戻っている可能性があります
スライダー、チェンジアップはSwStr%(スイングストライク率)がどちらも通算で16%を記録しており、K%の値で見ればスライダーの方が三振を取れており、決め球はスライダーであると判断できそうです
成績で読み解く
先発投手としてのキャリアが長く、2015年には14勝を挙げるなど実績もある投手ですが、2017年からはリリーフへ転向。トミージョン手術明けとなる2019年は活躍を見せています
アリゾナ・ダイヤモンドバックス傘下3Aリノ・エーシズが所属するPCLは、標高の高い地域や乾燥地帯に本拠地がある球団が多く、極めて打者有利なリーグとして知られ、今季からはメジャー公式球を使用した事で更なる打高傾向が強まっています。
またリノ・エーシズは本拠地球場が標高1300m超の乾燥地帯に位置している事で、PCL所属球団の中でも顕著な打者天国として有名です。しかしデラロサはその本拠地での成績がかなり良く、被本塁打も非常に少ない傾向にある事はリリーフ投手としてはかなり良いスペックといえるでしょう
リリーフ転向後改善傾向にある奪三振率
デラロサのデータの中で大きな変化を見せているのは、奪三振率の推移です
先発としてキャリアを積んでいた2011年から2016年までは最大でも9.6でしたが、リリーフに転向した2017年からは10点台を超える奪三振率をマーク。
トミージョン手術明けの2019年シーズンでも故障前とほぼ同程度の奪三振率をマークするなど、リリーバーとして求められる能力でもある奪三振奪取能力の向上は、活躍を図る上では良い兆しです。
何があったかをデータ以外で測るのは難しいのですが、リリーフに転向した事で心理面で変化があったのではないかと考えられます。
先発時代は14勝を挙げた事もありますが、イニング数を稼げずに苦しんでいた時期が続いていましたが、リリーフに転向する事で、打者一人一人への集中や持ち球を生かす投球を出来るようになった可能性があります
気がかりな対左被打率
デラロサのデータで気がかりなのが、対左打者被打率です
防御率も全体的に高く、被打率も高めに推移していて、今季の3Aでの被打率はキャリアワーストの.343、三振数もわずか6個と苦労している印象があります。
またキャリア通じて苦戦している事を考えると、何らかの形で苦手意識を持っている可能性や配球が対左打者には単調になっている可能性なども考えられます。
一方でこういった点は改善する事も可能である事を考えると、コーチ陣の指導や捕手の配球といった点が大事になりそうです
映像で見る
映像は2度目のトミージョン手術を受けた2017年以前の登板からと見られます
映像を見るとストレートに加えて、スライダーで三振を奪うシーンが多くみられています。また3Aでの登板映像を見るとストレートを軸に、スライダーで空振りを奪うシーンが多くあり、この2球種で押していく投球を見せる可能性があり、また空振り率が高いチェンジアップをどの程度混ぜ込めるかも重要となりそうです。
2度のトミージョン手術歴や異国での適応力が問われる事にはなりますが、実績やカタログスペックを踏まえるとシーズン途中で来日する選手の域を上回る印象です
今後のシーズン展開に加えて、今後の外国人投手補強の路線をも占う選手となりそうです