婆娑羅とは、自由闊達に生きる精神を表す古語です。
インドの古い言葉でもあります。どんなに強く硬いものでも打ち砕くきね杵、そして、それをもつ神様の名前であります。また、風流に遊び、派手にふるまうことの意味もあります。傍若無人にふるまい、どのような狼藉をも、許す覚悟があるということ。
婆娑羅とは、室町自体前期(南北朝期)に流行した世相風俗である。豪華な衣装に身を包み、贅沢の限りを尽くした生活を送ることを指す。本来、婆娑羅とはサンスクリット語の金剛石、すなわちダイヤモンドを指しており、きらびやかな生活とダイヤモンドの輝き、そしてその脆さをも含めて、この語が使われるようになったという説が有力である。
婆娑羅は、時代を経て、守護大名が没落していくにつれて本来の絢爛豪華という部分が欠落していき、その後変わった振る舞いをすることへ意味が転じた。戦国期には南北朝期の婆娑羅と同じような意味で「かぶきもの」という用語が使われるようになったとされている。
婆娑羅で有名になった人物としては、近江の守護であった佐々木道誉や美濃の守護であった土岐頼遠があげられる。太平記にも登場する彼らは、絢爛豪華な送りつつ、文化の保護育成にも取り組み、婆娑羅大名と称されていた。
婆娑羅とは、日本の中世、南北朝時代の社会風潮、文化的流行をあらわす言葉で、実際に当時の流行語として用いられた。婆娑羅など幾つかの漢字表記があり、梵語(サンスクリット語)で「vajra=金剛石「ダイアモンド」)を意味するが、意味の転化は不明であるとされる。
身分秩序を無視し華美な服装や振る舞いを好む美意識で、下剋上的行動の一種とされる。足利尊氏は幕府の基本方針である『建武式目』においてばさらを禁止する。ばさらに対して批判的な古典『太平記』においては近江国(滋賀県)の佐々木道誉(高氏)や土岐頼遠などのばさら的な行動が記されている。世にいう「婆沙羅大名」である。
ばさら【婆娑羅】
[名・形動ナリ]1 遠慮なく、勝手に振る舞うこと。また、そのさま。放逸。放恣(ほうし)。「大酒遊宴に長じ、分に過ぎたる―を好み」〈北条九代記・八〉2 はでに見えを張ること。また、そのさま。「一族若党共、例の―に風流を尽くして」〈太平記・二一〉 .. [さらに]
ばしゃら【婆娑羅】
[名・形動ナリ]「ばさら(婆娑羅)」の音変化。「今やう―の女と見ゆ」〈去来抄・修行〉 .. [さらに]