10代の頃、宝塚の人達が歌う歌をよく聴いていた。レコードやカセットテープの時代に。

週に一回、「ザ・タカラヅカ」という30分のテレビ番組もあった。妹と一緒に観ていた。トップスターの方達もよく出演されてて、毎週いろんな歌を歌われる。それをカセットテープに録音して、繰り返し聴く。(しばらくして家庭用の録画機も来たけど、ビデオテープか高額すぎて、毎週の録画は難しかった)


映画音楽やシャンソンや、当時の私にはそんなジャンルの区別もつかず、ごちゃ混ぜで聴いていた。(アリスの「帰らざる日々」もそこで初めて聴いて、ずっと劇中の音楽だと思い込んでたし)


あの頃、意味はよく分からなくても、歌詞に物語性があって美しいメロディの歌達がとても好きだった。


その中の一つ 「黒い鷲」


当時の雪組のトップスターだった汀夏子さんが、子供のような可愛らしい声で歌われたから、アンデルセンの童話のような、子供が見た夢の中の物語なのかとずっと思っていたけど、繰り返し聴く度に切なさが増してゆく不思議な曲だった。

最近になって、原曲を聴いた。

  

   Barbara   「 L'aigle noir」


大人の女性の声で、失くしてしまったもう一つの世界(夢?)を懐かしむような歌詞だった。もし、無垢な美しい世界がどこかにあるのなら、そこに帰れるのなら、本当の自分がそこにいるのかもしれない。空の向こうに。


私が昔聴いていた歌の歌詞

岩谷時子さんが訳されたもの

  

  


   黒い鷲

     詞・曲 A.Barbara

     訳詞  岩谷時子



いつか忘れたけど ある日目が覚めると

大きな空が裂けて 黒い鷲が飛んてきたの

雲へ翼広げて 空へ丸い輪をかき

羽の音も重く 私の傍 降りてきたの


鷲の瞳はルビー 二つの翼黒く

王子様のようなマントつけて 下りてきたの

肩に止まりながら 頬に頬を寄せて

耳の傍で熱く喘ぎながら ささやいた


ぼくと帰ろうよ いつも夢を見てた

小さな時のように星を取りに夜の空へ

ぼくと帰ろうよ 雲に乗って朝は

太陽見に行こうと

誘いかけて くれたけれど

やがて 悲しそうに 鷲は消えた空へ



いつか忘れたけど ある日目が覚めると

大きな空が裂けて 黒い鷲が飛んできたの


いつか忘れたけど ある日下りてきたの

飛んできたの 飛んできたの

空が裂けて 飛んできたの




小さなこどもに語りかけるような 静かな優しい曲。

いつか 

羽生さんが

スケートで滑ってくれないかな

ふっと、

何故か、そんなとりとめのない夢のようなことを思った。