本日、紹介するのは
超話題作なので、作品の詳細や解説ではなく、店主が何度も観て気になったところや個人的な解釈の備忘録的な記事です
この作品に関しては、映像が優れているのでスクリーン観賞が◎
格差社会映画として観る人は、1/100も楽しめません!!
(それは映画の設定要素の一つ)
初見はモノクロVer.は避けた方が良いです
モノクロの力を感じる作品だし、モノクロでも観るべき映画です
●この映画に関して時間軸
・情報皆無状態で、なんとなく観に行く
・映画館観賞後→めまいがしてクラクラする→胸がザワザワする
・韓国文化(食文化中心)を調べる→色々思い出すと、気になってしょうがないシーンが多い事に気づく
・新型コロナ(COVID-19)の影響で観に行けなくなる
・カンヌ映画祭やアカデミー賞などを受賞しまくる
・モノクロVer.と I MAX Ver.公開されるも観にいけなくて号泣
・円盤(ブルーレイ)にモノクロVer.が収録されていて歓喜
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重要な部分までネタバレしている記事です
=初見は情報なしで観るべき作品です=
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●タイトルに関して
製作過程でタイトルが変わったそうです
映画「アス」を観て、ポン・ジュノ監督は同じようなアイディアを同時期に考えていたことに驚いたそうです
②デカルコマニー(工作とかでやるやつ)
・あわせ鏡のようなシーンが多く登場
①家族それぞれが過ごす場所が同じ
半地下の娘(ギウ)「この家が自分の家だったらどこで過ごす?」
父母→リビングのソファ(地下夫婦も)
息子→庭
娘→2階
②知識や技術の差がない
地下→様々な蔵書、知識と技術のある家政婦
半地下→それぞれ高い知識や技術を持っている
社長家族→奥さまのちょいちょい挟む英語等
(財閥系ではなくIT長者と言う設定が重要)
③みんな助平
見逃しがちなのは、地下のコンドーム
(´-`).。oO( このポスターの奥様最高
※何が人生の差を産んでしまったのか?
※地下家族も半地下家族も「台湾カステラ騒動」が共通している
・終盤になって非対称として描かれるもの
水没する半地下住居と大雨でも快適なインディアンテント
避難所で途方にくれる家族と何事もなかったような社長家族
物資を奪い合う避難所とクローゼットで服を選ぶ社長夫人
③パラサイト(기생충(寄生虫))
このタイトルに関して、監督のインタビューや個人的な推測まとめ
・そのまま作品を観れば「お金持ちに寄生する貧乏人」
・実は高所得者も低所得者の「労働力」に寄生しないと生きていけない設定
・地下家族、半地下家族の生活や様々な行動が「カマドウマ(便所コウロギ)」やゴキブリのメタファーとして観ると悲しいほどに痛すぎるコント
「社長が来たらゴキブリみたいにサササーって隠れるんじゃないの?」
→その後の家族の行動はゴキブリのそれ(ほぼコント)
(´-`).。oO(結末がゴキブリのような生活という笑えないオチ
「命をかけて食べ物を食べに上がらないといけない」
●映像に関して(トリックやサブリミナル多数)
・正面からド―――ンの構図多数
・映像に縦線や横線がとにかく多い
(パク社長「一線を超える」発言多数、最後の一線を越える等)
・社長宅の台所の椅子の数の違和感
8個から10個に増える(各家族の総数?)
・社長が階段を下りて外に出るシーンがない
(上がってくるシーン多数...照明に注目)
・半地下の家に飾られる「安分知足」(知足安分)
高望みをせず、自分の境遇に満足すること
●象徴的なメタファーの解釈
・「水石」は夢や欲望の象徴
「なんで石をかかえてるんだ?」
「こいつがずっと僕から離れないんだ」
そもそもただの石だし...自分には運がないと暗示にかかりすぎ
しまいには水に浮いちゃったり、石に足を引っ張られたり悲し過ぎ
・なぜインディアンか
社長宅に壁に飾られている「チンパンジーの絵」など、社長息子ダソンは、自分の見た幽霊(地下家族)を描いている
家族を守ろうと必死なダソン、弓矢を射るタイミングにも注目
臭いにも誰よりも早く気付きます(くさいとは感じていない)
絵には下から上への↑まで描かれています
無線が欲しかったのも、家族を守るアイテムとして必須だと感じたのかもしれません
元家政婦に解雇を言い渡すシーンは、物見やぐらから見張っているようにも見えます(何を思っているのだろうか?)
侵略者や既に侵入している者に対して警戒をしていたのに、半地下家族の娘には懐柔されてしまったのはなぜなのか?
・計画(計画する/無計画)
「計画をしなければ失敗も起きない」
最初から最後まで「計画(無計画)」という言葉が何度も出てきます
色々な言葉で言い変えながら観てみました
プライド、夢、希望、目標 .....
●におい
この映画の最重要キーワード「におい」
・くさいと感じる人
社長、社長夫人
「もう何年も地下鉄には乗っていないわ」(以前は乗っていた)
社長夫人は「社長に言われて」はじめてにおいに気付きます
・臭いの違いはわかるけれどくさいとは感じない人
社長息子
・臭いの正体を理解している人
半地下家族の娘
・臭いを全く感じない人
地下夫婦、半地下家族、息子の友人(ミニョク)、社長の娘
「におい」に関して整理すると、かなり面白いです
・臭いを発しているはずなのに感じさせない人
元家政婦
・くさいと感じるはずなのに感じていない人
社長の娘、息子の友人ミニョク
社長の娘は「あばたもえくぼ」状態だから
(´-`).。oO(貧乏青年と資産家令嬢の恋愛設定あるある
ミニョクは半地下に遊びに来て、足の裏が汚れる事も気にせず裸足で上がり込んだり面倒を見たりする性格
(実はミニョクの行動が「におい」の解説になっているのかも?)
・最も強烈なにおいを発している(と、社長が感じる)人
地下の住民
地下室には、トイレの隣に洗面所があるので「体臭」とは考えにくい
(社長にとっては)鼻をつまむほどの「におい」を発していた地下住民...単なる資産や住居のメタファーではない「におい」
においを貧しさで沁みついた何かとすると、社長の息子がくさいと言わないところに救いがある
半地下家族の娘が即答で「半地下の臭いだよ」と言い切るのは、何か自覚させられるエピソードがあったんだろうなと推測すると、娘の冷めたキャラクターは「無自覚の絶望」だからと納得できる
●その他
・社長宅は、話がスムーズに進むように間取りや家具を考えられた計算しつくされたセット
・半地下家族の住居(のある街)は、映画の為に作った巨大なセット
・半地下家族が発泡酒(緑色缶)からサッポロビール(赤い星)になっている
・地下住民は、いったい誰を殺そうとしたのだろうか?(最大の謎)
その他、観れば観るほど発見や謎があって何度見ても凄まじい映画です
●最後に
明らかな悪党も天使もいない映画で、みんな適度に悪く、適度に善良で、適度に卑怯で、適度に正直な人々がもつれて破局に至ります。
私たちがニュースを見るとき、結果だけ見ます。
それは誕生日パーティーの芝生の上で起きた結果だけです。
でも、そこには私たちが簡単に察知できない長い脈絡があるんです。
映画はそんな結果に達した微妙な段階を2時間にわたって追っていけるーそれが映画の力ではないかと思う。
( ポン・ジュノ監督 )
21世紀の10本に選ばれるべき作品です
是非とも
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