本日、紹介するのは
■あらすじ
イギリスと新大陸の植民地をめぐってフランスと戦争状態にあった18世紀初頭、女王のアンは健康状態が思わしくなく、幼馴染のサラ・チャーチルが意志決定を代行している状態にあった。
サラの従妹であるアビゲイルが女王の側近として仕えるようになって以降、事態は一変する。サラとアビゲイルの間で女王の寵愛をめぐる激しい闘争が始まった。
ストレートに三角なデザイン
■アン女王
イギリス人のアン役のオリヴィア・コールマンさんも、サラ役のレイチェル・ワイズさんも インタビューで「アン女王の事は教科書にも載っていない」と知らなかったと言っています。
また「彼女は誤解され、歪曲されて伝えられ、忘れられてしまった悲しい女王」とも語っています。
史実としては、スペイン継承戦争、イギリスが連合王国となった時の最初の君主であり、スチュアート朝最後の君主です。
なのに何故??
映画『女王陛下のお気に入り』自体、グロテスクでメタファー(暗喩)の多い作品なので (表面的にしか感想を持てない)観客をミスリードするように描かれているように感じます。
■時代劇なのに現代性のある作品
アン女王:どうせ私なんか系の依存タイプ
幼馴染サラ:クールビューティー系の支配タイプ
成り上がりアビゲイル:セレブ志向パリピ系の陰謀タイプ
何といっても、三角形の中に(様々な理由で)入ろうとする男性陣への態度が凄い(見どころ)
10-20年前の時代劇作品とは全く違います。
こういう基本設定だけでも、とても現代的。
主演女優で唯一のアメリカ人であるエマ・ストーンさんは「ヨルゴス・ランティモス監督と一緒に仕事をすることを熱望していた」そうで、作品への出演が決まった時点でイギリス英語のコーチのもとで、語学特訓&ヌードも披露するほどの熱の入れよう(とてもストイック)。
クラシックなアクセントや英語ではなく、現代のイギリス英語で製作されています。
アビゲイルが女王の部屋から出て廊下で「FUCK!!」と延々と連呼しながら歩くシーンで、英語圏の人でなくても台詞が現代的に描かれていることに気づきます。
「時代劇を作っているが、歴史映画に求められるものに制限されることはしない」
というルールを作って製作したとヨルゴス・ランティモス監督(脚本/ギリシャ人)はインタビューで答えているのですが、(私以外)高齢者の歴史物好きで観に来ていた人が、ほぼ100%の観客席に どれほど伝わったのだろうか?と観終わった後に感じました。
■素晴らしい衣装
衣装担当であるサンディ・パウエルさん(アカデミー賞3度受賞)は、この映画の企画があることを知って すぐに「是非とも私に!!」と名乗りをあげたそうです。
好きな映画の多くが、このサンディー・パウエルさんの仕事
ヨルゴス・ランティモス監督作品であること、中世~近世ヨーロッパの衣装が得意(数多くの名作を担当)なだけでなく、めったにない3人の女性が主演の映画ということが大きかったそうです。
壁紙や調度品の、過剰なほどの装飾柄(その上 肖像画も多数)に対して衣装はモノトーンで抑えられて、キャラクターがとても引き立つ仕様になっていました。
デニム生地を使ったり、様々なレースの使い方などオーセンティックな衣装とは ほど遠いのに違和感のなく画面に映えていて「おぉぉぉ!」と途中で声を漏らしてしまうほど素晴らしいかった。
名作 映画『アマデウス』であったり、賛否分かれる 映画『マリー・アントワネット』の衣装が奇をてらい過ぎていたことが、良く判りました。
(どちらの衣装もエキセントリックでお洒落ですが)
個人的に異彩を放っていてツボだったのがハーリー役のニコラス・ホルトさん
マッドマックス 怒りのデスロードぶりの白塗り!!
ただでさえ長身の彼がハイヒールを履き、20cm以上の高さのカツラ!!
しかも!!また白塗り!!ウォー・ボーイ再び!!
ホルトさんは白塗り多いですね
映画『マッドマックス 怒りのデスロード』のウォーボーイのニコラス・ホルトさん
映画『ウォーム・ボディーズ』主演ゾンビのニコラス・ホルトさん
時間の経過と3人の衣装の変化にも注目です
■超広角レンズ・魚眼レンズと照明なしの撮影
室内の場面で、何度も超広角レンズや魚眼レンズの映像が使われています。
ランティモス監督の得意技ですが、眼が回ります。
自然光と蝋燭の火だけでの撮影・・・4K有機ELパネルでも自宅では(特に夜の室内)巧く再生は難しいと思います(映画館での観賞推奨)
自然光と蝋燭の光で撮影された映画と言えば、キューブリック監督の代表作『バリー・リンドン』
成り上がりのお話であったり、オーセンティックであることに こだわりぬいた作品なので、比較すると面白いかと思います。
男性主観(男性のパラダイス)映画の時代の作品という点でも。
キューブリック監督の当時はNASAの開発した貴重なレンズを借りて撮影したそうです。
ちなみに、このレンズを貸してもらえなかったのが、映画『アマデウス』と言う話は有名。
個人的には、広角や魚眼の画面は 部屋に飾られている沢山の肖像画が観ている視点の感じがしてグロテスクな感じ(好き)がしました。
何世代にも渡って、その部屋で起きていることを目撃し続けている肖像画・・・
■まとめ
BADな余韻のあるエンディングとエンディングからのエンドロールがとても良い
『バリー・リンドン』『アマデウス』と比較して観るとおもしろい
百合もの・中世近世もの・オーケストラ好きな人は観るべき
映画館で観ないと、60%くらいしか伝わらない仕様(映画館観賞推奨)
あくまでもコメディー映画(悲し過ぎるけど)
ウサギがいっぱい出演
■YOUTUBE
■スタッフ
原作 「Balance of Power」(2008年ラジオドラマ)デボラ・デイヴィス
監督 ヨルゴス・ランティモス
脚本 デボラ・デイヴィス/トニー・マクナマラ
撮影 ロビー・ライアン
美術 フィオナ・クロンビー
第91回アカデミー賞主演女優賞を受賞
とにかく!!映画館に観に行ってください!!
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