空港タクシーだ。
このタクシーが良心的な値段で中心街まで送ってくれるかどうかで、旅のテンションは大きく左右される。
今まで数多の国で何度も用心し、ある程度折り合いのついた金額で交渉成立してきた。
アルマトイ空港到着後のこと。
今回も事前に「アルマトイはタクシーがヤバい。白タク乗ると平気で交渉破棄してふっかけてくる」と聞いていたので、意地でも痛い目に遭わぬよう、公認タクシー且つメータータクシーを厳選した。
大体空港から市街地まで3,000テンゲ(日本円で1,080円くらい)が相場と聞いていたので、そのくらいで落ち着くタクシーを探した。
心配とは裏腹に、アルマトイ空港は最近、ボッタクリ被害を軽減するため、空港公認タクシーの斡旋が強化されたらしい。係員のロシア人姉ちゃんの協力もあり、かなり早く公認タクシーの確保に成功した。
斡旋人は胡散臭いカザフのおっさんたったが、英語で話しかけてきて、タクシーまで連れてってくれた。
「お前は公認か?」
「そうだ。エコタク(公認の黄色タクシー)だ」
「メーターか?」
「そうだ、安心しろ」
なるほど。こいつは大丈夫そうだ。と思い、タクシーに乗り込む。が、ドライバーは英語話せないモンゴロイドのおっさんで、道中のコミュニケーションは皆無だった。
写真は無いが、メーターは走った距離とkm単価を掛けて請求されるようだ。
「20キロくらいの距離で3,000テンゲ…kmあたり150テンゲ(54円)か。安いもんだ」
これがアダとなった。俺は海外で一番やってはいけない「思い込み自己完結」を脳内で実行してしまった。
仕事をしていてもそうだ。この思い込みに何度痛い目に遭ってきたか。これが学習能力の無さなのだ。学習能力低い=社会不適合なのだ(自論)。
時は深夜2時半。30分ほどのドライブの後、民泊先のアパートメント到着。タクシーの運転手からの請求を受けた。
俺は余裕を持ってすでにポケットに4,000テンゲ握りしめており、支払い後、すぐチェックインして眠りたい気分だった。
そこであのハゲ、もとい、タクシー運転手の口から
「9450テンゲ(3,400円)也」
と、想定外の価格を提示された。
は?高過ぎ。なんだこいつ。公認タクシーのくせにボッタクリか?と思い、頭に血が上った。
「なんでや、高過ぎやろお前」
「このタクシーはkmあたり500テンゲだ」
「払え。そういうルールだ」
「なんならオフィスに電話するか?中国語が話せるぞ。ほら、確認してみろ」
やられた…!?
このクソ野郎は公認だけどこっちが抵抗する術がないことを分かってふっかけてきている、とすぐに察知した。
「ほな、その中国野郎と話すわ」
そう言ってハゲに電話させたが、電話口の中国野郎も
「あー、あかんわ。兄さん、9,450テンゲ払わなあきまへんで」
クソが。なんてやつらだ。
だが、この時の俺はどうかしていたのか、トラブルを起こしたく無いこと、一刻も早く寝たいこと、周りに何も無さすぎ、味方もいないことなど、へたしたらこいつに何されるか分からん…といった負の思考が充満し、気付いたら9,450テンゲを運転手に渡していた。
「よし。ありがとうな」
と一言残し、やつは去っていった。
俺は枕を濡らした。悔しかった。海外旅行歴9年、今までこんな悔しい思いをしたことがなかったのに。大人しく払ってしまったことを、猛烈に反省した。
「なぜ事前に確認しなかった」
「なぜ疑問に思ったら質問しなかった」
「なぜその場で交渉しなかった」
自責の念に苛まれた。
兎にも角にも、旅の幸先はあまりよくない。
だが、いい勉強代になったことは事実だ。
無能の低学習能力者も、痛い目に遭えば少しは…と前向きに考え、今後の旅を充実させる。
明日はアルマトイ→コチコルまでの移動について、ブログに綴ろうと思う。
