デイリースポーツに掲載された「ME AND MY GIRL」の記事には「客席と一体に 宝塚初のスタンディングオベーション」と見出しが。

初演「ME AND MY GIRL」大劇場千秋楽での宝塚初のスタンディングオーベーション。
その客席にいることができたのは、幸運だったとしかいいようがありません。

前年、京都旅行の帰りに大劇場で一緒に「ラ・ノスタルジー」を観てウタコさんにはまってしまった先輩から「一度本拠地での千穐楽というものを観てみたい」と言われたものの・・東京ならいざしらずまだほんの数回しか遠征したことのない大劇場。どうしたものかと思ったそのとき、宝塚レディースインに泊まると確かチケットを取ってもらえたはず・・と思い出し、電話してみることに。
大橋のたもとにあった女性専用の宿泊施設宝塚レディースイン。
二段ベットの4人部屋で、ペンションというか宝塚ファンの合宿所?のようなところだったけど(笑)お値段もリーズナブルで朝食もついていてファンには本当にありがたいところでした。
問い合わせたら半年前から予約可能とのことで、作品のタイトルすらわからない1月に電話で予約して、無事千穐楽チケットを確保。
まさか半年後に、あの感動の瞬間に立ち会えるとは夢にも思っていませんでした。
あのとき「ラ・ノスタルジー」を観ようと誘わなかったら・・先輩がウタコさんにはまらなかったら・・きっと千穐楽のその場にはいなかったと思うと、巡りあわせの不思議を感じてしまいます。

「観客の一人が立ち上がると前後左右の客が次々と立ち上がり、劇場中が割れんばかりの拍手に包まれた」記事に載っていたカーテンコールの様子。
2階席にいた私のところに1階からうねりのような熱気が伝わってきて、その瞬間に自分も周りの人も全員が立ち上がって。まだスタンディングオベーションなんていう言葉が一般的でなかった時代。
感動のあまり立ち上がるってこういうことなんだ!と、こんなすごいことをウタコさんと月組の皆はやったんだ!という言葉にならない興奮と感動と嬉しさで、自分も周りも手が痛くなるまで拍手し続けて。
さっきまで満面の笑顔だったウタコさんが立ち上がった客席を見ながらオペラグラスの中でくしゃっとなった瞬間、オペラが曇って何も見えなくなったこと。あとからあとから出てくる涙。それでも見たくて曇るオペラグラスを何回も何回も拭いたこと。今でも忘れることができません。
(ああ、あのときにスカイステージがあったらなあ・・!)

このとき1階席で観ていた友人によると、真っ先に立ち上がったのは小林公平さんだったと思うとのこと(背も高くていらしたので目立ったのではと思います)きっと本当にウタコさんと月組を誇りに思われて讃えてのことだったんだろうなと。
立ち上がった公平さんの姿を思うと、胸が熱くなります。
ウタコさんは「お客様の温かさにふれ、一体になれた」と答えていますが、やっぱり作品、客席、そして作り手の代表としての公平さん、小原先生やスタッフ全員、皆の愛情があっての一体感。

初の海外同時上演、「予備知識もお手本もなく、不安がいっぱいだった」と語るウタコさん。プレッシャーも不安も計り知れないものがあったはず。でもなんとかしてよいものを届けたいというウタコさんたちの思いと舞台の力と愛情が加わって、あの特別な幸福感が生まれたんだろうなあと思います。

当時、初演の舞台について小藤田千栄子さんが「剣幸は、代表作にめぐりあった幸福感が客席にも伝わり、実に楽しい公演になった」と書かれていて。
代表作に巡り会える幸せ、喜び。
ファンじゃない友達にもビルはやっぱりウタコさんだよねと言ってもらえたときに、これが本当の当たり役というものなんだなととても嬉しかったなあ。
演じる人にもファンにとってもこれほど幸せなことはないと、この舞台で本当に実感しました。

それにしても、翻訳公演だったけれど、宛書のように皆がぴったりはまっていて。
この作品を月組で、このキャストでといってくれた小原先生に感謝です。



当時ウタコさん始め皆がやりたいといっていたマヤさんのパーチェスター♪



ランベスウォークで、踊るパーチェスターをたしなめていたマリアが最期についに踊りに加わる瞬間。はるちゃんのこのピルエット、最高でした!



夢の中で再会するビルとサリー。ランベスバレエ。
ミミちゃんだったからこの振り付けになったのではと思います(山田卓先生、さすが!)
夢のようだった・・。



今までどこへ失せてやがった!ラストの名場面。
この場面で、はるちゃんマリアが「ああせっかく紳士になったのに元に戻っちゃったわねえ・・仕方ないわねえ」という絶妙の表情を見せるそうなのですが(先輩談)私はついに一度たりともこの二人以外を見ることができず・・(オペラロックオン状態 笑)
タイムマシーンでこのときに戻ったら、はるちゃんマリアの表情も見てみたい!と思ったりするのですが、やっぱり二人しか目に入らないかも・・(笑)



何度見ても幸せで泣けました。
その後、すぐに明るいフィナーレになるのだけど、もうちょっと客席暗くしててほしいな~なんて思ったりしてました(笑)



フィナーレ、6人のウェディング。それぞれの個性が出ていて、皆本当に幸せになれたんだなあと思える、お芝居を観ているようなフィナーレでした(*^_^*)


どこか時間が止まってしまったような日々の中、デイリースポーツの記事のおかげで、よみがえった思い出。
ただ懐かしいだけじゃなくて、あのときの感動や幸せな気持ちは今の自分にも力をくれたような。
幸せな思い出も前に進む力のひとつになるのかなと、思ったりしています☆