本当に残っていくものって何なんだろう・・2年前に宝塚を再び観るようになってからずっと心に浮かんでいたこの思いを、昨日は一段と強く感じることになりました。


雪組彩吹真央さん(ゆみこさん)の退団発表。

宝塚はいつかは別れが来る場所ではありますが、2番手としてずっとトップスターを支えてきた彼女が今ここで去っていくことに何ともやるせない気持がします。


来年は96周年になろうとするその歴史の中で、私が観てきた宝塚はその1部にしか過ぎないかもしれない。

それでもその宝塚で育ったものとして、私が知っている宝塚の魅力がどんどん失われているような気がしてなりません。


組カラーという言葉はもう今は存在しないのかもしれない。今の厳しい時勢に合わないのかもしれない。

トップスターと支える二番手がいて、組の仲間がいて、苦楽を共にし、困難を乗り越えてひとつの作品を創りあげていく・・そして二番手がトップスターを見送り、新しい組になっていく・・そのときそのときのトップスターの色はもちろんあってもそうやって組のカラーが受け継がれていくからこそ、応援しているスターが去っても気になったり懐かしくなったりしてて又観てみようかなと思うファンがいて、見守り育てていく・・それもまた宝塚の魅力のひとつでもあると思うのです。

そうやって続いてきた組の持つ力があるからこそ、トップスターを中心としたそのパワーが発揮されて「ミーアンドマイガール」「エリザベート」の初演は大成功をおさめ、今も再演が続く作品になったのではないかと。

それは他の商業演劇にはない宝塚ならではの力だと思います。歌舞伎のように血縁で続いていくのではなく、全くの他人同士が集まり、時間をかけて創り受け継いでいく・・時間がかかるからこそ貴重であり、そこで生まれるものは多くの人の心に残っていくのだと思うのです。


厳しい時代で宝塚も試行錯誤しているのだろうとは思います。

でも目先のことばかりを考えてこれまで先人達が築いてきたもの、そしてこれから残していくものが何なのかを見失っているような気がしてならないのです。

どんなに厳しくても、時間をかけることをおろそかにしてほしくない。大事なものを忘れないでいてほしい。何よりもファンあってここまで続いてきたのだということを今一度しっかり考え直してほしい。そして生徒を大事にすることが結果としてファンを大事にすることなんだということも。


「報われない」「夢を見られない」とファンに思われてしまうことは、結果として失うもののほうが大きいと思います。

巨大な宝塚という歴史の歯車の前では、私の戯れ言など無に等しいかもしれませんが、それでもこれまでの財産をいい形で残していってほしいと残っていってほしいと、願わずにはいられません。