8/21夜、シアターコクーンで上演中のシス・カンパニー公演「怪談 牡丹灯篭」
を観てきました。
夏といえば怪談はつきものですが、舞台で観るのは初めて。
題材というよりは、キャストの梅沢昌代さんのお芝居を観たいということと、いのうえさんの演出、瑛太さんの初舞台などへの興味と関心から劇場へ向かいました。
浪人萩原新三郎に恋焦がれた末に命と落とし、幽霊となって下女お米と夜な夜な新三郎のもとに通う旗本飯島平左衛門の娘お露。その逢瀬を覗き見たことから運命が変わっていく新三郎の下働き伴蔵とその妻お峰。愛欲の果てに血ぬられた末路を辿るお国と源次郎、この三組の男女と彼らに関わるひとたちを通して人間の持つ欲や業が展開されていきます。
これが初舞台となる瑛太さんですが・・・第一印象はとにかく若い!浪人というよりはまるで少年のような雰囲気にビックリしたのですが、やはり周りがベテランの役者さん達ばかりなのでその初々しさがより若さに見えてしまったのかと思いました。映画での瑛太さんの演技は心に残るものが多く大好きな役者さんなのですが、舞台と映像の違いをあらためて認識することにもなりました。台詞の間合いや、声の張り、自分の台詞がない場面でも舞台上で役として佇んでいる立ち姿・・。カット割での撮影や感覚で演じられる映画と違ってやはり舞台は身体能力と場数による経験が大きいものなんだなと実感しました。今回の舞台は瑛太さんにとってもとてもいい経験になったのではないかと思います。共演の役者さんたちから多くを吸収しようとしている素直な舞台姿はとても好感が持てました。次の舞台も決まっているようなので、これからに期待したいと思います。
新三郎の下働きで忠義と欲のはざまに揺れる伴蔵を演じる段田安則さん。根っからの悪人ではない小心な男が成り上がって変わっていく様に説得力があり、さすがでした。その妻お峰の伊藤蘭さん。舞台を観るのは初めてでしたが、コミカルで度胸のいいお芝居が印象に残りました。
お露の後を追って死んでしまう乳母お米の梅沢昌代さん。上手いです!この日はうっかりオペラグラスを忘れたので細かい表情が見れなかったのですが、声色だけでぞっとするような怖さもコミカルなおかしさも感じさせてくれて存在感抜群でした。2幕では昔馴染みのお峰を頼ってくるお六との二役で、全く違うキャラクターながら人間くささがよく現れていて見ごたえたっぷり。「夜の来訪者」では出番があまりに少なかったので(涙)今回は大満足でした♪
源次郎とお国の千葉哲也さんと秋山奈津子さん。本来なら自業自得の男女のはずなのに感情移入して観ることができるのもお2人のお芝居ならではかなと思いました。
一幕は、この怪談の発端となる新三郎と幽霊になったお露の物語を中心に、二幕は彼らにまつわる二組の男女を中心に展開されますが、人間のもつ愚かさや哀しさがより胸に迫ってくるように感じられて、二幕が俄然見ごたえがありました。特に最後は怪談らしくぞっとさせてもらいました(笑)
いのうえさんの演出は初めてだったのですが、今回はオーソドックスにわかりやすさを心がけているとシアターガイド誌のインタビューで話されていたので、いつものスタイル?の演出も観てみたいと思いました。
盆回りが多用されていたのはちょっと気になりましたが・・(^^ゞ
今年はこれといって夏らしいことをしていないのですが(^^ゞ怪談で夏気分を味わうことができてよかったです♪