PARCO劇場にて上演中の「サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ~日曜日にジョージと公園で~」 を観てきました♪



The Best of Times

作曲・作詞 スティーヴン・ソンドハイム
台本 ジェームス・ラパイン
演出 宮本亜門
翻訳 常田景子
出演 石丸幹二 戸田恵子
諏訪マリー 山路和弘 春風ひとみ
畠中 洋 野仲イサオ 花山佳子
鈴木蘭々 冨平安希子 岸 祐二 石井一彰
南 智子 岡田 誠 中西勝之 堂ノ脇恭子 ほか

19世紀末のフランス人画家ジョルジュ・スーラの作品「グランド・ジャッド島の日曜の午後」からインスピレーションを受けて作られたといわれるスティーブン・ソンドハイムのミュージカルです。

絵画には詳しくはないのですが、初めてNYに旅したときにメトロポリタン美術館でちょうどスーラ展をやっていてこの絵がなぜか心に残り、ずっと関心があった作品でした。


この絵画をどう使うのだろうと思っていたのですが、装置・照明ともに素晴らしかったです。絵の額縁の中にすっぽり入ってしまったかのようなセットがモノトーンの照明で白いキャンバスにもなり、画家のアトリエにもなり・・登場人物が揃って一枚の絵にぴたっとおさまったときの美しさは感動的でした。


舞台は一幕が19世紀のパリで画家ジョルジュ(ジョージ)と恋人ドットを中心に、二幕は20世紀末にジョルジュの曾孫ジョージとその祖母でかつてジョルジュとドットの間に生まれた娘マリーを中心に描かれています。

一幕では絵画の登場人物が見せる生身の感情が興味深く(フランス人らしい人間くささが描かれていたように思います)二幕では時代を超えて交錯する芸術家の心に惹きつけられました。


ジョージの恋人ドットとその娘マリーを演じた戸田恵子さん、本当に素晴らしかった!!難しいといわれるソンドハイムの楽曲ですが、どれも自分のものにして歌いこなしていてさすがでした。1幕、絵画のことしか頭にないジョルジュに見切りをつけているようでその才能を深く愛しているドットが何ともいじらしく、2幕ではそのジョルジュの血をひいていることを誇りに思っているマリーの姿に胸を打たれます。車イスで座っているだけの後ろ姿から伝わってくる芸術という重み。一方で話が長くなりがちな老人のおかしさなどユーモアも抜群。終盤のジョージとのやりとりでは思わず涙がこぼれました。戸田さんのドットとマリーを観ることができただけでも行った甲斐がありました。


画家ジョルジュと発明家の曾孫ジョージを演じた石丸幹二さん。石丸さんはクラシックなイメージがあったのですが、一幕での自分の作品だけを見つめている19世紀の画家ジョルジュよりも二幕での一見社交的なようでこれからどうやって自分の道を模索したよいか悩んでいる曾孫ジョージのほうがはつらつとしているように感じました。(石丸さんご自身もパンフレットの対談で二幕のジョージのほうがシンパシーを感じると話されていたので、やはりそうだったのかなと)ナンバーはさすがの歌唱力でどれも安心して聴いていられました。


今回のお目当てだったイヴォンヌ春風ひとみさん。彼女のお芝居が観たかったのも観劇理由のひとつですが、一幕のドットとのやりとりは特に印象的でした。丁々発止のやりとりも、心の奥を覗かせる繊細な部分もその間合いが絶妙だなと感じます。


その他のキャストの皆さんどの方も歌も芝居も実力派ぞろいで、一幕・二幕で歌われる「サンデー」の美しさと迫力に思わず涙が出そうになりました。このキャストでこのサイズの劇場だからこそ伝わってくるものがあったように感じました。

初演もオリジナルも観ていないので、どれだけこの作品のテーマが現れていたのかはわかりませんが、少なくともこのキャストとこの劇場にこだわってくれた、そのことに感謝したいと思います。


「人とつながりを持つこと」「受け継がれていく思い」が深く心に残りました。

チャンスがあれば上演中にもう一度観にいきたいと思っています。