ついこの間初日を迎えたように思っていた大好きなミュージカル「この森で、天使はバスを降りた」 も、早いもので残すところあと1週間!となってしまいました(寂)


初日から何度か観劇する機会があったのですが、なかなかそのつど感想を書く余裕がなく・・あせるまとめてになってしまいますが、その後のこの作品の印象などを書いてみようかなと思います。



初日から観劇したのは5/9ソワレ、5/16ソワレ、5/21ソワレの3回。

下手、後方センターブロック、上手とそれぞれ違った角度からこの舞台を観ることができて、その都度新しい発見があり新鮮でした。


5/9は下手通路側。

都民劇場で取ったチケットです。初日は上手だったので、下手でのお芝居の表情がよく見えて、また違った印象がありました。パーシーが自分の父親のことを話す場面や、ハンナが黙って椅子に座っている場面など、動きのない部分でもその表情から登場人物により感情移入することができました。

この日は初日の緊張感からだんだんと皆が慣れてきて、いい形で全員の呼吸があってきているように感じました。客席はミュージカルが初めてなのかなと思われる方も多く、拍手のタイミングが難しそうでしたが、お芝居や歌に真剣にひきこまれている雰囲気があって、とても心地よかったです。


5/16はA席センターブロック。

後ろから舞台全体を見てみたいという理由で購入したのですが、とても観やすく大満足でした。

一番印象的だったのはライティングの美しさ。オープニングの暗闇に浮かび上がるパーシーや、それぞれのキャストのナンバーによって柔らかかったり力強かったりする照明。特に2幕のシェルビーが歌う「ワイルドバード」やハンナの「日が暮れたよ」のナンバーでは自分もその歌詞と一緒に暗闇に溶けていってしまうような錯覚を覚えました。6人でのコーラスなど、多彩なナンバーも全体を見渡せるとより面白く、よくできているなあとあらためて感心しました。


5/21は前方センターブロック。

得チケットで取ったのですが、こちらも観やすいお席でした。役者さんの息づかいが聞こえてくるような近さで、まるで自分もギリアドに、スピットファイヤー食堂にいるようなドキドキ感がありました(*^.^*)

キャストの皆さんも回を追うごとに役柄が自分のものになってきているのが感じられて、より物語に深く入り込んで観ることができました。


そのキャストの皆さんの印象を。


パーシーの大塚ちひろさん。

初日は精一杯やっているという情熱の部分を大きく感じましたが、自然とパーシーになってきているように感じられました。自分の台詞はなくても、相手の台詞を聞いているときの表情にパーシーの心の動きが感じられて、剣さん、土居さんという経験豊富な女優さんたちとじっくりお芝居ができたことは、彼女に非常によい経験になったのではないかなと思いました。難しいナンバーも多く大変だと思いますが、千秋楽まで頑張って輝き続けてほしいなと思います。


シェルビーの土居裕子さん。

彼女から一番感じるのは、この役をそしてこの作品を心から愛しているという強い情熱です(もちろん他のキャストの皆さんも同じですが)その美しい歌声に自らが酔ってしまうのではなく、その情熱を魂をこめて歌っているからこそ、聞いている人が心揺さぶられるのではないかなと思います。千秋楽まで美しい「ワイルドバード」をギリアドの森に響かせてほしいなと思います。


ハンナの剣幸さん。

頑固で不器用で人に言えない大きなものを背負って生きてきた強さと苦しさの中に持っている優しさ。そのバランスが絶妙だなと思います。初日から回を重ねるごとに、前半の頑固さ・強さがよりハッキリ感じられて、この作品のテーマでもある「スピットファイアー」を背負っているハンナの苦しさがより伝わってきました。お芝居から歌への流れもとても自然ですっと心に入ってきます。明るいナンバーも哀しいナンバーも歌詞が心に深く響く歌唱で忘れらない場面となりました。千秋楽までその懐の大きな演技で、スピットファイアー食堂を取り仕切ってほしいなと思います。


エフィーの田中利花さん。

この作品のコメディリリーフとしても欠かせない重要な存在(笑)その笑いの取り方もこの作品から大きく外れることなく、ちゃんとギリアドのエフィーとして成立しているところがさすがだなと思います。ナンバーもどれもエフィーとしての味があって聞いていて楽しい♪彼女にも千秋楽まで町の代表として(笑)賑やかに頑張ってほしいなと思います。


ケイレブの宮川浩さん。

第二次大戦の栄光でアメリカが理想とした「強い男」への現実に苦悩するケイレブ。封建的に見える役柄でありますが、そのちょっとした仕草や表情にかいまみえる「包容力」からケイレブが妻を大切に思っていることを感じ、そのナンバーから苦しさを感じることができました。「包容力」は演技だけで表せるものではないと思うので、その点でも宮川さんは貴重な役者さんだと思います。千秋楽まで男として苦悩しつつ(笑)頑張ってほしいなと思います。


ジョーの藤岡正明さん。

ギリアドに魅力を感じることができず、いつかは町を出ようとしている若い保安官。町の中では恵まれている環境の青年が持つ人のよさや素直さがストレートに感じられました。これだけの台詞を喋るのは初めてと、インタビューなどで話していましたが、その一生懸命さもとても好感が持てました。この経験がいい形で今後の舞台に反映されたらいいなと思います。千秋楽までその伸びのある歌声で、パーシーにアタックし続けて(笑)ほしいなと思います。


訪問者の草野徹さん。

台詞も歌もないという難しく、そして重要な役を存在感たっぷりに見せてくれます。すごい役者さんだなあと観る度に感じます。カーテンコールでの生き生きと歌う姿もとてもいいです♪千秋楽まで、ギリアドを見守り続けてほしいなと思います。


どのキャストの皆さんも本当に魅力的なのですが、最大の魅力はこの7人が実に見事に調和してこの作品の美しいハーモニーとなっていることだと思います。誰か1人だけが特別に目立つのではなく、誰1人かけてもこの作品は成り立たない。だからこそこの町がこの作品が愛おしい。そう思わせてくれる本当に貴重な舞台だと思います。

(なかなかこれだけ波長の合うキャストが揃うことは難しいような気がします)

大きな仕掛けや刺激がある大作ミュージカルだけでなく、たとえ小さな作品であっても、このような日常の心の機微が感じられるミュージカルも愛されてほしいなあと思います。


残りあと1週間になってしまいましたが、もし迷っている方興味がある方は是非貴重な機会をお見逃しなく!!

お得なチケットも探せばまだ出ているかもしれません(料金には問題ありと思うのですが、それはまた違う記事で書いてみたいと思います)

ひとりでも多くの方がこの作品に触れる機会があることを願って・・ドキドキ