先週金曜日(1/30)の夜 NHKBSで「第66回ゴールデングローブ賞授賞式」が放映されました映画


アカデミー賞の授賞式は毎年何らかの形で(ダイジェストであっても)中継を見ているのですが、ゴールデングローブ賞は断片的な映像だったり、結果をニュースで知るだけだったり・・と授賞式を見た記憶がなかったので、これはいい機会♪と放映を楽しみにしていました☆

ところが、この日に限ってHDDの残量が足りなくて録画ができないあせるあえなくリアルタイム視聴(いつも録画しても一度しか見ないし・・)となったのですが、授賞式でのスピーチに心動かされるものが多く「ああ録画したかった!」「この言葉を覚えておきたい!」と字幕をにらめっこ目するシーンが度々・・(HDDの容量さえあれば・・涙)


豪華な出席者や興味深い映画・TVの紹介(日本ではまだ未公開のものばかりなので)ももちろん楽しみではありますが、やはり心に残ったのは、壇上に上がった受賞者の飾らない、映画を愛する心からのスピーチでした。


沢山のスピーチがありましたがその中で私が印象に残ったものを・・(録画していなかったので記憶がかなり曖昧ですがあせる大体こんなことを話していたという私なり?に感じた内容です)


最優秀長編アニメ賞「ウォーリー」監督・脚本のアンドリュー・スタントン


「ニモ(ファインディングニモ)があまりにヒットしたのでもうあれ以上(ヒットする)ものは作れないだろうと思った(笑)だからヒットすることは考えずに心から作りたいものを作ろうと思った。それがこれだけ多くの人に受け入れられて嬉しい。映画を愛する心から生まれた作品だと思う。」


ちょうど先月この映画を見たばかりだったので、この言葉に反応してしまいました。決して奇をてらったり、面白おかしく作っているわけではないけれど、ものすごくシンプルで純粋なものを持った心洗われる映画という印象だったので、ああなるほどなあと。興行的に成功することも大事なのだとは思うけれど(多くの人に見てもらえるという点で)それ以前の映画を作りたいという原点に立ったストレートな気持は必ず人に伝わるんだなあと感じた言葉でした。


主演男優賞(映画ドラマ部門)「レスラー」ミッキー・ローク


「こんな自分を信じてくれた人、支えてくれた人全てに感謝したい。声をかけてくれた○○(名前を忘れましたあせるエージェントの人かな?)とそんな彼を降格処分にしなかった彼の上司に感謝したい。自分を最後まで信じてくれた監督にも感謝したい。とても厳しい人だけれど何十年に一度しか出てこない本物の監督だと思う。この15年間たいした仕事もせずずっとダメだった自分だけれど、俳優という職業のいいところはこうやって復活できるところだ。」


壇上にあがったミッキー・ロークはあの一世を風靡した面影はなくその変貌ぶりに最初は誰だかわからなかったほどでした(最近の姿を知らなかったこともありますが)15年近くも低迷期があったことや、自分が主演では資金が集まらなかっただろうに皆よくやってくれた・・と率直につらいことを話し素直に心から感謝を表す彼の姿は感動的で思わず涙しそうになりました(昔はファンじゃなかったけれど (^^ゞ)この気持を忘れずにこれから新たにいいキャリアを重ねてほしいなあと思います。飾らない率直な言葉が印象的でした。


セシル・B・デミル賞 映画監督 スティーブン・スピルバーグ


長年の映画界の功績を称え贈られる名誉賞。

プレゼンターは39年に渡って親交があるという、マーティン・スコセッシ監督。

これまでのフィルモグラフィーが映るだけで、その歴史の1部に自分も観客として参加したという不思議な感動を味わいました。スピルバーグ監督のスピーチは、この授賞式のハイライトといってもいいくらいの映画への情熱あふれるものでした。長かったのですが、印象に残っている部分を・・・


・映画との出会い

「初めて見た映画がセシル・B・デミル監督の「地上最大のショウ」だった。特に列車衝突のシーンは6歳だった自分に大きな衝撃で家で列車の模型を衝突させて映画のシーン再現していた。あるとき親に怒られたので、こっそり親の8ミリでそのシーンを撮影した(何度でも再現できるからという理由?)これが私にとっての初めての映画でだあり、だからセシル・B・デミル賞は自分にとってとても意味のあるものなんだ」


初めての出会いが強烈なものであればあるほど、その後の人生がある意味決定づけられることってあると思うのですが、セシル・B・デミルとの出会いがなかったら今日のスピルバーグはなく「ジョーズ」も「未知との遭遇」も「E.T.」もなかったかもしれない・・そう思うと出会いの不思議さをあらためて感じます。


・成功しても安定を求めない

「これまで支えてくれた人たちのおかげで成功することができた。新しいものを作るときはいつでも「上手くいくだろうか?」という不安がある。サメや恐竜を扱うときも(笑)それでも「不安のない」仕事はしたくない。」


モノを創造する仕事をしている人全てに通じる言葉でもあり、自分自身にも言い聞かせたい言葉だなと思いました。誰でも新しいことに挑戦するときは不安を感じるもの。これだけ成功をおさめたスピルバーグの口から出た言葉だからこその説得力がありました。


・才能が新たな才能を創る

「偉大な監督は必ず次の世代の監督の師となり、新たな才能を創造する力を持っている。例えばジョージ・ルーカスがロン・ハワードを生み出したように(もっと沢山の監督の名前を挙げていましたが忘れましたあせる)そうやって私達はつながって今ここにいる。」


誰かに影響を与え、その人の人生を変えてしまう・・才能ある人はきっとそんな大きな力を持っているのだと思います。もちろん自分の個性も大事だけれど、誰かに憧れたり影響を受けたときに生まれる強い気持には底知れない力があるのでは・・と授賞式に揃った映画監督の顔を見て感じました。映画に限らず、どんな世界であっても才能は次にまたその次に・・といつまでも受け継がれていってほしいと心から思います。


・自分たちが観客であることを忘れない

「自分達も観客のひとりであることを忘れてはいけない。このような時世だからこそ全ての人に愛されるような映画を作らなくてはいけない。そしていつもインスピレーション(ひらめき)を大切に。」


監督にとって自分達が観客のひとりであるという認識は、持っているようでも忘れてしまうときもあるかもしれません。テーマを追求しすぎたり、こだわりすぎたりすれば、どこかでひとりよがりになってしまうこともあるかもしれない。映画はエンタテインメントであり娯楽であるという一面をこの言葉で実感しました。スピルバーグの映画への信念が感じられる言葉でした。

名誉賞ということでかなり時間をとってのスピーチでしたが、言葉のひとつひとつに重みがあり、このような賞を受ける映画人ならではの説得力があって、深く心に残りました。


スピーチといえば、下書きのメモを読みながらという場面を多く見かけます。時間制限がある中で多くの人に感謝を伝えたいと思うと仕方ないことなのかもしれませんが、個人名を若干割愛しても、メモを見ずにそのときに感じたことを率直に語ってくれる言葉がやはり印象に残りました。


来年もどんなスピーチを聞くことができるのか楽しみです♪