「熱が出ると布団にくるまって震える」――誰もが一度は経験したことがある現象ですよね。体温が上がっているのに、なぜか寒気を感じてしまう。この矛盾のような感覚、実は人間の体の高度な防衛システムが関係しています。
体内の「温度設定」が書き換わる
発熱はウイルスや細菌と戦うための自然な反応。脳の中にある**体温調節中枢(視床下部)**が、「平熱では敵に勝てない!」と判断すると、設定温度を37℃から38℃、あるいはそれ以上に引き上げます。
つまり、体にとっての“快適温度”が急に上書きされるわけです。
体は「まだ寒い」と勘違いする
しかし、体の実際の温度はまだ上がっていません。
設定温度は38℃なのに、体は37℃しかない。すると脳は「目標より低い!寒い!」と勘違いし、震え(戦慄)や血管収縮を起こして体温を必死に上げようとします。
その結果、本人は布団にくるまってもゾクゾク寒いと感じるのです。
発熱のピークを過ぎると…
やがて体温が設定温度に追いつくと、寒気は消えて「熱い…」と感じるようになります。
さらにウイルスと戦いが終われば、設定温度はもとに戻り、余分な熱を逃がすために大量の汗が出てきます。これが「汗をかいたら熱が下がった」というおなじみの流れ。
寒気=免疫が働いているサイン
つまり発熱時の寒気は、体が敵と戦うためにギアを入れ替えた証拠。
「震えてる=ウイルスと格闘中」なんです。
もちろん、高熱が続いたり辛すぎるときは医療機関を受診することが大切ですが、あのゾクゾク感も実は身体の知恵なのだと思うと、ちょっと納得できますよね。
✅ まとめ
- 発熱時は脳が体温の“設定温度”を上げる
- 実際の体温が追いつくまで「寒気」と震えが出る
- 免疫がしっかり戦っている証拠
